富山大学とヤンマーHDが挑む地産地消の未来
2025年6月10日、富山大学の五福キャンパスにおいて、ヤンマーホールディングス(以下、ヤンマーHD)と国立大学法人富山大学が共同で実施するスマート無人販売所の実証実験がスタートします。この取り組みは、持続可能な「地産地消」モデルを構築するための一環として行われます。
地元産の豊かな恵みを提供
富山県は主食用米を中心に、高収益作物として野菜や果樹の生産に力を入れています。この実証実験では、生産者の販路拡大を目的とし、新たな販売チャネルを検証します。具体的には、富山大学内に設置されるスマート無人販売所で、地元の新鮮な野菜や果物を学生たちに手頃な価格で提供し、全国的に価格が高騰する中で、安心して美味しい食材を享受できることを目指しています。
スマートな技術で利便性を向上
このスマート無人販売所では、ヤンマーHDの開発した技術を駆使して、モバイル端末を使用し、リアルタイムで売り場の状況を確認できます。生産者は現地に行かずとも、自身の野菜や果樹の販売状況や在庫を把握できるため、効率的な運営が可能です。消費者は、営業時間や在庫情報を手元で確認した上で、買い物に行くことができるため、無駄を省くことができます。
さらに、キャッシュレス決済導入により、現金管理の手間もなくなり、生産者にとっても利便性が増す仕組みが整えられています。今後は、割引セールなどの集客施策も計画されており、販売所のマーケティング機能が充実していく見込みです。
地域社会への貢献と課題
一方で、無人販売所の運営には設置場所が重要な要素となります。設置場所が不適切であれば、売上が見込めず、また新規参入障壁も高いという課題も抱えています。そのため、デジタル技術を駆使した共同販売形態の導入や適正立地の確保が、地域振興において重要な要素となります。実証実験を通じて、全ての生産者が参加しやすい、地産地消が活性化するモデルを構築していく狙いです。
また、新たな共同無人販売所が設置されることで、現在の直売所の運営コストを抑えつつ、流通量の増加が期待されます。さらに、富山市が掲げる「コンパクトシティ」政策に伴い、ヤンマーHDは新しい販売チャネルを通じた街づくりにも貢献していく計画です。
実証実験の詳細
実証実験は2025年6月10日から7月31日までの期間に行われ、八つの生産者が参加します。各々の役割として、ヤンマーHDは販売所に用いるカメラやアプリの開発・運用を担当し、実証データの収集・分析を行います。富山大学は必要な機材の提供や店舗運営の支援を行います。また、地域生産者の募集と支援も富山市が実施します。
この新たな取り組みが成功すれば、他の地域にも同様のモデルを広げられる可能性があるため、今後の展開が非常に楽しみです。持続可能な社会の実現に向けて、地元の農業がどのように成長し、発展していくのか、その行方を見守りたいと思います。