内航海運のエネルギー効率化に向けた新たな実証事業が採択される

省エネルギー・非化石化を目指す内航海運

国土交通省および経済産業省は、内航海運における省エネルギーと非化石化の取り組みを一層推進するために新たな実証事業を採択しました。これは、令和7年度に実施される「運輸部門エネルギー使用合理化・非化石エネルギー転換推進事業費補助金」に基づくもので、外部の有識者による審査を経て選ばれたものです。

新規採択の実証事業

このたび採択されたのは、アキ・マリン株式会社とNSユナイテッド内航海運株式会社による具体的なプロジェクトです。プロジェクト名は「5500トン積セメント船に新型ゲートラダーシステム搭載による省エネ実証事業」であり、大型セメント船を対象にした革新的省エネルギー技術の実証が行われます。

実証内容

本実証事業では、次の二つの主な技術が採用されます。まず、適切な舵角を自動調整する機能を持ったゲートラダー。これは、特殊な形状の2枚舵を用いることで、水の抵抗を減少させることが期待されます。次に、可変ピッチプロペラとの組み合わせによる操船装置です。これにより、航行中のエネルギー効率を大幅に向上させることが見込まれています。

これらの技術を駆使することで、省エネ化とともに非化石エネルギーの導入も目指します。今回の実証事業は、国が補助金を支給して行われるもので、施設費などの一部が補助される制度です。

政策背景と目的

国土交通省と経済産業省は、内航海運業界の省エネルギー化およびCO2排出の削減に積極的に取り組んでいます。日本の海運業界は、経済活動と環境保護を両立させるために新たな技術の導入が急務であることが認識されています。この実証事業を通じて得られたデータや知見は、今後の内航海運業界全体の生産性向上や環境負荷低減に大きく寄与することが期待されています。

特に、内航船省エネルギー格付制度の活用により、省エネ技術の効果を「見える化」し、業界全体への周知活動を行うことで、他の事業者や企業への波及効果も考えられています。