美しさの多様な価値観を理解する新たな指標の開発
化粧品業界の巨人、株式会社コーセーは、美しさに対する価値観を捉えるための心理指標を新たに開発しました。この指標は、国際的な視点から美容の価値観を測定するもので、特に日本における独自の調和志向に注目が集まっています。コーセーはデンマークのコペンハーゲン商科大学の加納史子准教授との共同研究を通じて、この指標の有用性を検証しました。
1. 背景と目的
ここ数年、ソーシャルメディアの普及やグローバル化により、美容や美しさに対する価値観は多様化しています。従来、年齢、性別、地域といった固定観念だけでは捉えられなかった価値観が、今や個々の文化や経験によって形成されています。そこでコーセーは、消費者の本当のニーズを理解するために、美容価値観を測る心理指標の開発に乗り出しました。
2. 指標の開発プロセス
この指標を構築するため、コーセーはまず欧州の9ヵ国から集めた13人の男女を対象に、美しさについてのインタビューを行いました。このインタビューから、美容価値観の様々な要素を特定し、さらにそれを測定するための設問を作成しました。調査は英国で繰り返され、その結果を基に設問と指標の妥当性が確認されました。その後、アメリカ、デンマーク、日本でも同様の確認が行われ、14の設問からなる美容価値観調査票が完成しました。
3. 各国の価値観比較
開発した調査票を利用して、日本、アメリカ、イギリス、デンマーク、フランス、ドイツ、中国、台湾の合計12,712人を対象にしてデータを収集しました。その結果、各国において内面性が最も重視される傾向は見られましたが、自己研鑽性や個性尊重性についての重要度は国によって異なりました。特に日本は、社会調和性の強さが際立っていることが明らかになり、従来の価値観とは異なる新たな洞察を提供しました。
4. 17種類の美容価値観タイプ
この調査によって、個々の価値観のパターンを分析し、それを17の美容価値観タイプに分類することが可能になりました。このマッピングにより、各国の美容価値観の違いが視覚的に示され、日本特有の調和の美意識が際立つ結果となりました。
5. 今後の展望
この心理指標の開発により、コーセーは消費者を表面的な属性だけでなく、その心に宿る価値観から理解する新たなステージへと進化しました。今後は、この成果をもとに、世界中のお客様が求める「美」の実現に向けて、さらに広範な検証や研究に取り組んでいく方針です。これにより、美容に関する商品開発やサービス展開が、よりパーソナルで的確なものとなることが期待されます。