耳掃除の見直しで快適な聞こえを実現する方法
耳掃除についての正しい方法はなかなか知られていないことが多いです。聴覚の専門家として、最も多く寄せられる質問の一つは「耳の正しい掃除方法について」です。このシンプルな疑問には多くの誤解が存在し、その結果、耳を傷つけてしまうことも少なくありません。
多くの人が使用する綿棒や耳かき、さらには耳キャンドルなどの手法は、見た目には手軽に感じられます。しかし実際には、耳垢を奥に押し込んでしまう危険があり、それが聴力の低下や炎症を引き起こす要因となることがあります。特に、補聴器を使っている方にとって耳の清潔を保つことは非常に大切です。耳を清潔に保つことで補聴器の性能も最大限に引き出すことができるのです。
本記事では、自宅で行える安全で効果的な耳掃除の方法について、専門家の視点から詳しく解説します。
耳掃除の見直しが必要な理由
耳が聞きづらくなったと感じたとき、まず考えるべきは耳垢の蓄積です。実際に私の元に訪れる方の中には、耳垢が詰まっているために「補聴器の音がこもって聞こえる」「最近、よく聞き返すことが増えた」といった問題を抱えている方が多くいます。
また、耳の中に異物を入れることは、外耳炎や耳垢塞栓、さらには鼓膜損傷といった症状を引き起こす危険性があります。特に高齢者や補聴器を使用している方は、適切な耳掃除を行うことで「聞こえの質」が大きく向上することが期待できます。
専門家がすすめる安全な耳掃除方法
耳掃除を行う際には、以下の3ステップをお勧めします。
1.
シャワー中に耳の入口をぬるま湯で流す
熱すぎないお湯で耳の外側を優しく流すことで、耳垢がふやけて自然に排出されやすくなります。
2.
清潔な布で外耳を軽く拭く
耳の外側を濡らしたガーゼやタオルで優しく拭きましょう。耳の奥に無理に物を入れる必要はありません。
3.
固くなった耳垢にはベビーオイルを1滴
鼓膜が健康で痛みや分泌物がない方には、ミネラルオイルやベビーオイルが有効です。人肌に温めたオイルを1〜2滴耳に垂らし、5〜10分耳を傾けてなじませた後、反対側に傾けて排出し、外側を拭きます。ただし、鼓膜に穴がある方や外耳炎がある方は使用を避けてください。
敏感な耳への正しい対応
赤ちゃんや高齢者は、特に耳掃除に対して注意が必要です。赤ちゃんには耳掃除は不要で、基本的には外側を拭うだけで済みます。高齢者もやさしく外側だけを気をつけて行うべきです。
補聴器ユーザーにとって耳掃除が大切な理由
補聴器の不調の約30%は耳垢の詰まりによるものとも言われています。音がこもったり、ハウリングが発生したりする原因となりますので注意が必要です。また、耳垢が補聴器のスピーカーやマイクに付着し故障の原因になったり、電池の持ちが悪くなることもあります。
耳掃除は聞こえを守る第一歩
耳掃除は日常的に行うことが推奨されます。正しい耳掃除を行うことで、補聴器の寿命を延ばし、感染症のリスクを防ぐことにつながります。聞こえに不安がある方や家族の補聴器をケアしている方は、この機会に耳の健康を見直してみてください。
耳掃除の習慣は、小さな一歩でありながら、快適な生活を手に入れるための大切な要素です。どうぞ、安全な耳掃除で自分自身の聴覚を守っていきましょう。