第36回國華賞の受賞者発表
2023年10月8日、株式会社朝日新聞社と國華社が主催する第36回國華賞の受賞者が発表されました。今回は沖縄県立博物館・美術館の主任学芸員である平川信幸氏が、その著書『琉球国王の肖像画「御後絵」とその展開』により栄誉を受けました。これは、琉球王朝における国王の肖像画の文化的背景とその意義を深く探求した作品です。
國華賞とは
國華賞は、日本および東洋の美術に関する優れた研究を表彰するものであり、特に歴史的価値を持つ作品にフォーカスが当てられます。今回の選考では、上智大学名誉教授の小林宏光氏を委員長とする12名の選考委員が厳正に評価を行い、平川氏の研究の独自性と深さが高く評価されました。
この賞を受賞することで、平川氏は賞状や副賞、記念品を贈呈されることになります。授賞式は、10月24日(木)の午後6時から東京・築地の朝日新聞社新館レセプションルームで行われる予定です。その場で平川氏の研究に関する見解や今後の展望についても語られることが期待されています。
受賞作品の内容
平川信幸氏の著書『琉球国王の肖像画「御後絵」とその展開』は、琉球王朝の時代に描かれた国王の肖像画を基に、当時の文化や社会情勢を考察しています。この作品は、琉球の歴史を理解する上での重要な資料として位置づけられており、特に「御後絵」という特有のスタイルに焦点を当てています。
「御後絵」とは、琉球国王の肖像画の一種で、この絵画は単なる肖像を超え、国王の威厳や国の繁栄を象徴する重要な文化遺産です。平川氏はこの作品に描かれる象徴的な意味や、当時の美術の背景を詳細に分析し、絵画が持つ深い文化的意義を浮かび上がらせています。
國華社とその月刊誌「國華」
國華賞は、國華社が1998年に設立以来、毎年優れた美術研究を選出し、発表してきました。特に、同社が編集する月刊誌「國華」は1889年に岡倉天心らによって創刊され、現在では世界最古の美術研究誌として知られています。この雑誌は、過去の美術から現代のアートシーンまで幅広い情報を提供し、日本美術研究の重要な基盤となっています。また、朝日新聞社がこの雑誌の発行を支援し、朝日新聞出版がその販売を行っているため、多くの読者に支持されています。
平川氏の受賞は、現代の美術研究が琉球文化の価値を再認識するきっかけとなるものと期待されます。彼の研究が今後さらに多くの人々に影響を与え、沖縄の伝統文化の理解が深まることを願っています。