盲ろう者の手から生まれたプロダクト「触結草履」
地域作業所わくわくわーくが、インクルーシブカルチャーブランドirotoaの一員として新たな製品「触結草履(ふれゆいぞうり)」を発表しました。これは、盲ろうの方々が通う作業所での挑戦を形にしたもので、ただの履物ではなく、手から手へと伝わる思いと技術が結集した一点物です。
手から始まる歩み
この草履は「触れて、裂いて、編んで、結ぶ」というプロセスによって形作られます。初めはうまくできないこともありますが、盲ろう者の製造過程においては、この繰り返しが重要です。指先の感覚が頼りとなり、光や音のない静けさの中で、彼らは挑戦を続けます。この積み重ねがあってこそ、一足の草履が生まれるのです。この草履は、単なる履物以上のものであり、各々の努力や挑戦の証を表しています。
一歩を結ぶ一足 — 触結草履
この草履は再生着物を使用した一点物であり、その表情は多様です。具体的な特徴としては、再生裂き布を活用しており、その揺らぎの中に手の記憶が織り込まれています。履き心地は良好で、立体的な編み込みが足裏に快適にフィットし、素足でも靴下でも違和感なく使用できます。また、結び目を調整することでフィット感を微調整できるため、自分好みの履き心地を実現できます。室内での使用にも優しく、傷をつけにくい設計です。
盲ろうということ
盲ろうとは、視覚と聴覚両方に障害がある状態を指します。そのため、盲ろう者には、情報の取得や伝達に継続的な困難が伴います。このプロジェクトでは、制作の現場で触手話・指文字等を駆使しながら、手の感覚を中心に作業が行われています。手順は具体的に分解され、素材の質感や厚みを十分に考慮して選定されます。
地域作業所わくわくわーくの歩み
地域作業所わくわくわーくは2007年に横浜で設立され、2013年にはNPO法人として活動をスタートしました。在宅に留まりがちな盲ろう者に向け、彼らに仕事と情報・コミュニケーションの場を提供することを目指しています。日々の活動では、裂き布草履や織布、点字用紙活用製品の制作、地域での販売や交流、さらには季節の行事にも取り組んでいます。
支援者の挑戦
盲ろう者に対しては、一般的なコミュニケーション方法が通用しにくいため、支援者は触れることで作業の手順を共有します。素材選びや作業台の整頓は、作業が円滑に進むために非常に重要です。「今日はここまで」「次はこの編みを一緒に」など、その日ごとの進捗を尊重しながら制作が進められ、達成感を共有することも大切なプロセスです。
製品概要
品名: 触結草履(ふれゆいぞうり)
素材: 再生着物(絹・綿・ポリエステル等)
サイズ: S/M/L(個体差あり)
お手入れ: 手洗いまたは洗濯ネット使用可
販売開始日: 9月1日
販売場所: irotoa コラボレーションストア(原宿)およびオンラインストア(準備中)
盲ろうの方々の手によって編まれる草履は、ただの製品ではなく、彼らの努力と情熱の結晶です。一足ずつ丁寧に編まれた草履を履くことで、私たちもそのストーリーの一部となります。彼らの挑戦を応援し、一緒に歩んでいくことができるでしょう。