AI支援で進化するCFT構造のコンクリート充填作業
建設業界において、コンクリート品質の管理は極めて重要です。特に、CFT構造(鋼管柱内にコンクリートを充填する構造)では、充填作業の際に異物混入や充填不良が発生するリスクがあり、それをいかに早期に検出し、対処するかが安全性と品質の確保に直結します。これを実現するために、鹿島と株式会社Ridge-iが共同で開発したAI支援システムが注目されています。
1. 新システムの背景
CFT構造に適したコンクリート充填作業では、施工担当者や技術者が長時間監視することが求められ、作業負担が大きな課題でした。これを解決するために、鹿島は「moni-as」という遠隔監視システムを導入し、リアルタイムで施工状況を確認できる体制を整えました。しかし、さらなる性能向上のために、新たにAIによる異常検出機能を追加しました。
2. 本システムの特長
この新しいシステムは、CFT構造の充填作業中に、AIが「moni-as」の映像を監視することにより、異常を検出するものです。使用されるAIモデルは、2000時間にわたる充填映像を元に学習され、専門技術者と同等の基準で異常を見つけ出します。このシステムでは、「鋼管柱内の異物」、「コンクリート性状」、「ダイアフラムの通過タイミング」という3項目を確認し、各項目に対してリアルタイム診断を行います。
2.1 鋼管柱内の異物
CFT構造の柱は、均質で密実なコンクリートの充填が求められます。このため、異物混入のチェックが非常に重要となります。AIは、計画された強度を確保するために、異物が存在しないかを厳しく監視します。
2.2 コンクリート性状
コンクリートの性状には様々な要因が影響します。設計基準や使用材料、時間経過によって変化するため、充填に適切な状態かどうかをAIが監視します。
2.3 ダイアフラムの通過タイミング
コンクリートを充填する際は、各ダイアフラムを通過するタイミングを確認し、適切な充填速度(1m/分以下)を保つことが重要です。AIはリアルタイムで充填の速度を計算し、スムーズな作業を保証します。
3. 導入の効果
このシステムでは、異常を「正常(緑)」、「注意(黄)」、「異常(赤)」の3段階で表示し、判断根拠をレポートとして確認できます。モックアップ試験により、異物混入や充填不良の状況で高精度かつ迅速に異常を検知することが確認されました。この性能により、現場での品質保持が徹底されることが期待されています。
4. 未来の展望
鹿島とRidge-iは、今後もこのシステムのさらなる性能向上を目指し、品質管理の強化に取り組んでいく方針です。建設現場におけるAI技術の進化は、効率性と安全性を向上させる大きな助けとなるでしょう。この新しい技術が、建設業界のスタンダードに変わっていくことが期待されます。