KOMORIの挑戦:世界の銀行券印刷とその未来を切り開く
KOMORI(小森コーポレーション)は、銀行券印刷において世界で高い評価を受ける印刷機械メーカーです。偽造防止技術や安全性を求められるこの分野で、KOMORIは国際的な競争力を持つ技術を築き上げてきました。その中でも、特筆すべき成果は、米国ドル紙幣の印刷を担うことになったことです。この成功は、60年にわたる挑戦の成果であり、今後の展望にも大きく寄与することでしょう。
証券印刷事業の成り立ち
KOMORIの証券印刷事業は1958年に始まり、国立印刷局との共同開発がその基礎となりました。日本銀行券を印刷するため、国産の機械が必要とされ、KOMORIはそれに対応する機械の開発に着手。これにより、70年近くで200台以上の印刷機が納入され、現在でも約50台が稼働しています。
世界市場への挑戦
1962年にKOMORIに入社した小森善治氏は、証券印刷事業を海外へ展開することに情熱を注いできました。1987年の中央銀行総裁会議では、日本の技術を世界にアピールし、多くの商談が生まれる契機となりました。初めての海外受注はロシアの財務省印刷局から受けた凹版印刷機であり、それ以降韓国、中国、インドなど、世界各国への納入を実現してきました。
特にインドネシアでは、何度も交渉が難航しながら、最終的に約30台もの機械を納入する成功を収めました。また、ベトナムでの新工場計画は、10年以上の商談を経た末、2024年にオフセット、凹版、番号印刷のラインが成立する見込みです。これらの進展は、アジア市場でのKOMORIの信頼性を証明するものとなるでしょう。
欧州市場での成功
KOMORIは2011年に英国の印刷会社デ・ラ・ルー社から受注したことで、ヨーロッパ市場へ本格参入を果たしました。このパートナーシップにより、最新技術の導入や保守サービスの提供などが行われており、KOMORIの印刷機が用いられる英国ポンドは100%KOMORI製であることも特筆すべき点です。さらに、その影響はフランス、アラブ首長国連邦、イタリアなどへも拡大しています。
アメリカドル紙幣印刷の夢
特に小森会長にとって、アメリカ・ドル紙幣の印刷は長年の夢でした。15年以上にわたり、米国の印刷局との交渉を続けてきた結果、ついに複数台の印刷機の受注が実現しました。これにより、KOMORIの歴史における重要な1頁が刻まれることになったのです。
今後の展望
KOMORIは証券印刷事業において市場のさらなる成長を予測しています。特にアジアや中南米、アフリカでは、セキュリティ技術が求められる印刷市場が広がっています。また、デジタル印刷機の開発も進行中であり、これにより鰐貼のような複雑な技術を取り入れた新たな印刷機械の提供が期待されています。
結論
KOMORIの姿勢は、顧客に感動を与えることを重視し、技術の進化に貢献しています。今後も、同社は印刷技術を駆使して、世界中の銀行券印刷のリーダーシップを築きながら、高い信頼性とセキュリティ技術を提供し続けていきます。これにより未来の社会の要請に応える企業として、さらに発展していくことでしょう。