在外邦人のための孤独・孤立相談窓口の運営実績
特定非営利活動法人「あなたのいばしょ」は、外務省の委託を受けて2024年4月から2025年3月まで「在外邦人のための孤独・孤立相談窓口」の運営を行い、その結果を報告しました。これにより、海外に住む日本人が抱える孤独感やその解消のための施策が明らかになりました。
1年間の運営概要
この相談窓口は24時間365日、日本語での対応を行っており、16名の有資格者(臨床心理士、社会福祉士等)が相談に応じています。
運営データ
- - 総相談件数:4,138件
- - 相談者数:3,552人
- - 相談者満足度:71.6%
- - 孤独感軽減効果:37.0%
このデータから、多くの相談者が成果を実感していることがうかがえます。また、孤独感の軽減を感じた相談者も3割以上に上ることが確認されました。
相談内容の傾向
特に目を引くのは30〜40代の女性からの相談が多い点です。この年代の女性からは、英語圏の外国での生活における文化的な違い、国際結婚による配偶者との関係の悩みが寄せられました。
30代・40代女性の相談の特徴
- - 30代女性の相談比率:13.0%(国内向け比較の8.0%から+5.0ポイント)
- - 40代女性の相談比率:7.0%(国内向け比較の4.0%から+3.0ポイント)
さらに、国内の「あなたのいばしょチャット相談」との比較において、「家庭」に関する相談が約6倍となる結果が出たことも特筆すべき点です。これにより在外邦人の方々が直面する、異文化間での関係構築の難しさが浮き彫りになりました。
家庭にまつわる悩み
主な相談内容としては、無国籍の子供を持つ際や、文化的背景の違いによる価値観の食い違いが伺えます。また、家族との子育て方針に関する悩みも多く、これらが孤独感をさらに助長する要因となっています。
相談内容の具体例
- - 国際結婚した配偶者とのトラブル
- - 配偶者の転勤に伴う孤独感
- - 文化的な違いに起因する家族間の価値観の違い
- - 子育て方針における意見の対立
今後の取り組み
今回の調査結果は、単なる言語の障壁を超えた、より根深い孤独の問題を示しています。特に、30〜40代女性からの相談が多かったことに注目し、必要な支援体制の強化を計画しています。
私たちは、外務省や在外公館と連携しつつ、心理的な支援が必要な方々への迅速な対応を引き続き行う意向です。どんな状況でも、年齢や性別を問わず、無料で匿名の相談ができる体制を整え、孤独・孤立問題の解消を目指しておりま
す。このように、支援を必要とする人々に寄り添う取り組みを続けていくことで、社会全体の孤立感を少しでも軽減できればと願っています。
詳細なレポートは、オンラインで閲覧可能な「在外邦人のための孤独・孤立相談窓口運営業務」(令和6年度)完了報告書からご確認いただけます。