企画写真展「土田ヒロミ写真展『俗神』」の開催
2025年3月27日から6月30日まで、東京都港区にあるフジフイルム スクエア 写真歴史博物館で、土田ヒロミを特集した企画写真展「俗神」が開催されます。入館は無料で、誰でも気軽に足を運べる魅力的なイベントです。
展示の見どころ
本写真展では、1968年から1975年にかけて撮影されたシリーズ「俗神」の中から選ばれた約30点の写真が展示されます。土田ヒロミは、日本各地の土俗文化を取材し、その瞬間を超越した美しさで捉え続けてきた写真家です。「俗神」は彼の名を一躍知らしめる作品であり、戦後日本の文化における重要な作品とされています。
土田が訴えるのは、急速に変化する日本の風景の中で、それでも息づく土俗的な感覚や文化です。青森から沖縄まで、土田は日本の多様性を探索し、各地の大衆や風物を照らし出しました。これらの作品は、見る者に深い感動をもたらすと同時に、問いかけをしてくるのです。
土田ヒロミの写真家としての足跡
1939年福井県に生まれた土田ヒロミは、1971年に「自閉空間」という作品で写真家としての活動を本格的にスタートしました。「俗神」は、彼の原点とも言える作品でもあり、自らの農家出身という背景を土台にした土俗文化への探求の旅でした。彼は視覚的なアプローチを通じて、消えゆく文化や伝統を記録し、その意義を再考させています。
また、土田の作品は隔月誌『カメラ毎日』に連載され、1974年にはニューヨーク近代美術館で開催された「New Japanese Photography」展にも出展され、海外からも注目を集めました。1976年には、これらの作品が集められた写真集『俗神』が出版され、大きな反響を呼びました。
現代における「俗神」の意義
本展では、戦後の写真が持つ特異性や、写真が社会に与える影響について現在の視点から再考する機会が提供されます。特に、急激な経済成長に伴って変わりゆく日本の風景の中で、土田の作品は一層新鮮に響くことでしょう。
土田はその作品を通じて、私たちが忘れてしまった「写す」という行為の本質に立ち返り、無機的な被写体ではなく、儀式的な瞬間として人々を描き出すことを試みています。この点においても「俗神」は重要であり、様々なテーマについて考察を促す力を持っています。
併催イベントの紹介
展覧会期間中には、土田ヒロミ自身によるギャラリートークも予定されています。4月5日と5月24日の午後2時から、それぞれ30〜40分のトークが行われます。この機会にぜひ参加して、土田の作品やその背後にある思いを直接聞いてみてはいかがでしょうか。
フジフイルム スクエア 写真歴史博物館
フジフイルム スクエア 写真歴史博物館は、190年以上にわたる写真の変遷を展示する貴重な場所です。多彩な企画展を通じて写真文化の深さを体感することができ、歴史的なカメラや貴重な写真が展示されています。ぜひ足を運び、写真の魅力を再発見してください。