脳波を用いた新たな英語学習評価手法の研究成果

2025年5月13日、株式会社進鳳堂が大阪大学産業科学研究所や大学院人間科学研究科、Interuniversity Microelectronics Centre（imec）との共同研究を行ってきた成果が、Springer Nature社の国際オンラインジャーナル『Discover Education』に掲載されました。この論文は「Identifying english proficiency by frontal theta activity during english learning」というタイトルで、英語を学ぶ際の脳波活動と英語能力の関連性を探るものです。

研究の背景と目的

近年、グローバル化が進む中、英語は国際的なビジネスや学術交流において欠かせない言語となっています。そのため、英語教育の場では学習者の能力をいかにして的確に評価するかが重要視されています。従来のテストでは、準備や運営に多くの時間と労力が必要です。本研究では、EEG（脳波）データを用いて学習者の集中度や英語習熟度を迅速に、かつ非侵襲的に測定する新たな手法を提案し、英語教育の現場に革新をもたらすことを目指しました。

研究成果の概要

研究では、英語学習中での被験者の前頭部シータ帯域活動に着目し、その活動と英語能力の関連性を調査しました。シータ帯域とは、脳がリラックスして集中しているときに発生しやすい脳波の一種です。この活動が英語学習時にどのように変化するかを分析することで、英語のレベルを識別する新たな指標が明らかになりました。

主な成果

研究の結果、初級者（TOEIC730点未満）と上級者（TOEIC730点以上）との比較において、上級者は前頭部シータ帯域活動が高いことが判明しました。このことは、英語の習熟度による集中度の違いを示しています。興味深いことに、この研究によって英語能力を従来のテストに依存せず、脳波から客観的に測定できる可能性が明らかになりました。

今後の展望

進鳳堂は今後も、大阪大学などのアカデミアと連携を強化し、脳波測定を利用した学習評価手法の研究を推進していく予定です。また、この技術は教育にとどまらず、医療や企業研修、文化教育などさまざまな領域への応用が期待されています。日本発の脳科学EdTechモデルを世界に発信することを目指し、新たな教育の形を提案し続ける考えです。

掲載論文情報

この研究結果は、Springer Nature社の『Discover Education』にて発表されました。

- タイトル: Identifying english proficiency by frontal theta activity during english learning
- 著者: Taweesak Emsawas, Tsukasa Kimura, Shintaro Ogura, Hironori Morita, Ergashov Abdullajon, Bernard Grundlehner, Mototsugu Ogura & Masayuki Numao
- 公開日: 2025年5月13日
- DOI: https://doi.org/10.1007/s44217-025-00517-3