映画『うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生』が放つ深いメッセージ
中村結美監督が手掛けたドキュメンタリー映画『うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生』は、父親である織本順吉氏の晩年を映し出す作品として、多くの観客の心に響いています。この映画の公開を記念して、中村監督自ら執筆した書籍『ジツゴト2000の役を生きた俳優・織本順吉』が発売されることになり、親子の絆や「老いる」というテーマについて、深く掘り下げています。
織本順吉という俳優の軌跡
織本順吉(おりもと・じゅんきち)は、1927年に神奈川県で生まれました。大学を卒業後、大手電機メーカーで働きましたが、1950年代に演劇の道を歩むことを決意し、新協劇団に入団。以降、彼の俳優人生は約70年にわたり、舞台、映画、テレビで幅広く活動し、総出演作は2000本以上を数えました。その実力派の演技力と独特の存在感から、織本は多くの作品で脇役として演じることが多かったものの、その活動は多岐にわたりました。
監督中村結美の視点
映画『うしろから撮るな』では、老いていく父を真正面から捉えています。中村監督は、父の老いを見つめる過程で、老いるとは何か、家族とは何か、生を全うするとはどういうことかという問いに直面します。特に、父の死を前にして、どのように向き合い、受け入れていくのかを描写しています。^^この映画は単なるドキュメンタリーにとどまらず、人生の宿命と価値を浮かび上がらせる深い内容となっています。
本書の内容
書籍『ジツゴト2000の役を生きた俳優・織本順吉』は、映画には収まりきれなかったエピソードが網羅されています。中村監督は、自らの視点で織本の役者としての姿や、家族との関係を振り返り、彼の生き様を明かしています。
- - 第一章 では、「末期の息が撮りたくて」というテーマのもと、有終の美を求める織本氏の姿に迫ります。
- - 第二章 では、「役者の処世と芝居の極意」と題し、俳優としての生き方や演技の技術についても考えます。
- - 第三章 から第十章にかけては、織本が歩んできた数多くの道のりや、その中での家族の思い出、さらには最後を迎えるその日までの軌跡が描かれています。
彼が演じた数々の役や、その背景にある人間模様、さらには戦後の復興といった歴史も,この本を通じて感じ取ることができるでしょう。
上映情報
映画『うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生』は現在、東京都新宿K's cinemaを皮切りに、横浜を含む複数の映画館で上映中です。詳しい上映スケジュールは、公式ウェブサイトで確認できます。見逃した方はぜひ、この機会に足を運んでみてください。
映画を観た後、本書を手に取ることで、より深く織本順吉の人生を理解できるはずです。親子の絆、老いの意味、命の大切さについて考えさせられるこの作品は、世代を超えた共感を呼ぶものとなっています。号泣必至、感動のストーリーをお楽しみください。