インパクトサークル、アステナホールディングスと社会価値創出に向けた協業
インパクトサークル株式会社(東京都港区)は、アステナホールディングス株式会社(東京都中央区)と連携し、同社のソーシャルインパクト事業において「社会価値創出の枠組み(インパクトコンセプト)」の策定を支援しました。
1. プロジェクトの背景
アステナグループは、「Astena 2030 “Diversify for Tomorrow.”」という中長期ビジョンを掲げ、医薬品、化学品、健康食品、化粧品などの分野で事業を展開しています。特に、同グループの子会社であるアステナミネルヴァ社とNAIA社は、石川県珠洲市を拠点に医療、農業、教育などで地域共創型のプロジェクトを推進してきました。しかし、こうした取り組みから生まれる社会価値は十分に整理されておらず、外部・内部のステークホルダーとの効果的な対話や情報発信も課題となっていました。そこでインパクトサークルは、アステナグループと協力し、社会価値創出の構造化に取り組むこととなりました。
2. 実施内容とプロセス
① 課題の再定義
インパクトサークルは、アステナグループが解決すべき能登地域の複合的な課題(産業縮小、外貨獲得手段不足、自然災害の影響など)を整理し、両社協働によって「地域内で価値を生み出し循環する新しい地域経済の形」として明確にしました。
② 資源と活動の構造化
次に、両社が協力し、アステナグループの資源(人的資本、知的資本、自然資本、財務資本)の整理と、ヘルスケアや農業、教育における事業活動の構造化を行いました。このプロセスでは、それぞれの活動が生み出す価値とつながりを視覚的に可視化しました。
③ 価値の接続
最後に、両社はソーシャルインパクト事業から得られるアウトプット(商品売上、地域調達率など)と、アウトカム(地域に仕事が生まれる、地域外との交流促進など)との関連性を整理し、社会価値創出の全体像を設計しました。
3. プロジェクトの成果
このプロジェクトでは多くの成果が得られました。
- - 知見の整理と共有:アステナグループが現場で蓄積した知識を言語化し、社内の共通認識を強化しました。
- - 社外との対話指針の構築:新たにできたインパクトコンセプトを元に、ステークホルダーや投資家との対話の指針として機能させました。
- - 人材獲得の強化:ビジョンと価値創出構造の明確化により、共感を呼ぶ人材の採用に成功し、関係者の巻き込みを進めました。
アステナグループの清水雅楽乃常務執行役員は、「地域との共同作業は、持続可能な未来を築く挑戦であり、モデル作りでもあります。このプロジェクトによって、社内の理解が進み、社員の行動にも良い変化が見られるようになりました」と述懐しています。
4. 今後の展開
今後、インパクトサークルはアステナグループと共に、社外との対話を通じて社会的価値のストーリーを発信していく計画です。また、事業活動と既存ビジネスとの接続性を高め、企業全体の価値向上を目指します。これにより、さらなる持続可能な成長を遂げる企業へと進化することを期待しています。