住友ゴムとNECの戦略的パートナーシップ
住友ゴム工業株式会社(以下、住友ゴム)と日本電気株式会社(以下、NEC)は、特にタイヤ材料の開発に関してAIを活用した研究開発の基盤を構築するための戦略的パートナーシップを加速しています。この提携は、2025年までに世界で競争力のある研究開発基盤を築くことを目指しており、双方の先端技術と知識を融合させることがポイントです。
競争力強化の背景
近年の製造業の激しい競争環境において、持続的な競争優位性の確立が不可欠です。そのため、研究開発活動の高度化と迅速化が求められています。住友ゴムとNECは、この問題を解決すべく2022年からタイヤ開発をAI化し、熟練技術の伝承と技術開発体制の強化に取り組んでいます。
AIに基づく先行実証の成果
住友ゴムとNECのパートナーシップは、特に以下の2つの先行的な実証実験において顕著な成果を上げています:
1. タイヤ材料の配合予測
NECは疑似量子アニーリング技術を利用して、過去の実験データを分析しました。その結果、複数の配合案の中から目標とする材料特性を90%以上満たす新たなゴム配合案を導出し、これにより開発プロセスが約95%短縮されることが証明されました。
2. 新材料の探索
材料探索では、AIエージェントを用いて、プレミアムタイヤに必要な新素材を発見するための文献調査を行いました。この過程で、AIが関連情報を自動的に収集し、材料候補の探索を60~70%短縮することが確認されています。新しい材料候補も効率的に見出せるようになっています。
未来に向けた展望
両社はさらにこのパートナーシップを発展させ、2030年までにAIを用いた高度な研究開発スタイルを確立し、社会課題に取り組む新たな事業やイノベーションの創出を目指します。住友ゴムはその長期戦略「R.I.S.E. 2035」に基づき、新たな体験価値の提供を追求しています。
一方で、NECは「NEC Open Innovation」を進め、様々なパートナーとの共創を通じて新たなソリューションを模索しています。
住友ゴムとNECの共同努力がもたらす未来の研究開発の姿は、業界に新風を吹き込むことでしょう。両社の成果は、タイヤ業界だけでなく、製造業全体にも大きな影響を与えることが期待されます。