豊橋市が進めるデジタル化の実証実験
愛知県豊橋市が「Urban Innovation TOYOHASHI」というプロジェクトを通じて、保育園入所審査業務のデジタル化を目指す実証実験を行います。本プロジェクトの運営はアーバン・イノベーション・ジャパン(UIJ)が担当します。豊橋市内で直面している社会課題を解決するため、スタートアップとの協働を進めています。
実証実験の背景
豊橋市は、地域の多様な産業や経済基盤を生かして、新たな価値を生み出すことを目指しています。東三河地域には特異な技術を持つ企業や農業が存在し、こうした環境を活かして社会課題を解決するための新しい取り組みが進められています。特に、保育園入所審査は手作業が主体となっており、選考結果の通知に時間がかかるという問題があります。この改善に向けて、実証期間を2025年4月から8月と定め、採択された企業によるデジタル化の試みが行われます。
課題解決に向けた採択企業とその取り組み
豊橋市は2つの主な課題に対して、次のように企業を採択しました。
1. 保育所入所審査業務のデジタル化
保育園の入所審査業務が手動式であることが課題になっています。これに対し、採択されたのは「BABY JOB株式会社」です。同社は、業務が進む中で生じるボトルネックを明確にし、デジタル技術を活用してこのプロセスを効率化する方法を提案しています。保護者が安心して入園できるよう、迅速な結果通知ができる体制を整えることが目標です。
2. 中小企業に対する補助金情報の提供
中小企業に向けて、どの補助金が適用可能かわからないという悩みがあります。この問題に取り組むことが決まったのが「株式会社Across Digital」です。この企業は、生成AIを駆使して各企業が適した補助金情報を自動的に提供するシステムを構築中です。LINEなどのSNSを通じて、企業情報を簡単に登録するだけで、必要な情報を瞬時に提供し、申請もスムーズに行えるような仕組みを検証していきます。
3. 家賃未払いの通知方法の工夫
最後に、豊橋市の住宅課が課題として挙げたのが市営住宅の家賃未払い問題です。選定された「Lecto株式会社」は、SMSや自動音声応答を活用した新しい通知方法を試験的に導入し、応答が得られないケースへの対処法を検討しています。これにより、滞納を防ぎ、より安心して住まえる住宅環境へとつなげることを目指しています。
プロジェクトの意義
この「Urban Innovation TOYOHASHI」の試みは、単に技術を導入するだけでなく、地域のニーズに応じた持続可能な解決策を見出すことが狙いです。デジタル化によって業務の効率化を図り、住民の安心につなげることは、今後の地方自治体における課題解決の一つのモデルケースとになるでしょう。
いずれの実証実験においても、協働パートナーシップが重要な要素となります。企業と行政が連携することで、社会課題に対する実効性のある解決策を生み出すことが期待されています。実証実験の結果を踏まえて、さらなる本格導入に向けた計画も進められるでしょう。
最後に
今後の豊橋市の取り組みから目が離せません。実証実験の成果や、将来的な取り組みが市民にどのような利益をもたらすか、引き続き注視していきたいと思います。