一穂ミチの世界が再び広がる
人気作家一穂ミチの最新短編集『たぶん、恋しい』が、2026年6月17日に新潮社から発売されることが決まりました。これまでに『スモールワールズ』や『光のとこにいてね』など、数々の名作を世に送り出してきた彼女ですが、今回の作品もまた、私たちの心に優しく寄り添う「お守り」のような一冊となっています。
心に響く短編たち
本作には、名前のない感情について想いを巡らせる6つの短編が収められています。各短編は、現代社会を生きる私たちが抱えるさまざまな心の痛みや複雑さを描写しており、読者は自身の感情とも向き合うことができるでしょう。
1. 「エンパイアライン」
この短編では、合コンで出会った彼女との物語が描かれます。彼女は「猫ファースト」であり、彼女の愛猫との出会いがどのように二人の関係性に影響を与えるのかが焦点となります。愛する存在との関係を通じて、生まれる感情の揺れ動きが、思わず共感を呼び起こします。
2. 「月を経る」
48歳を迎えた主人公、緋沙子が、結婚や出産、そして生理に対する葛藤を抱え、人生の選択を迫られる様子が描かれます。年齢を重ねるごとに襲いかかる時間の壁と、それを乗り越えようとする姿が、切実ながらも感動的です。
3. 「わたしたちは平穏」
濃い味や感情が苦手なカップルが冷凍庫に隠している秘密とは。二人の関係に隠れた感情を掘り起こすことで、平穏さと向き合う姿勢が鮮やかに描写されています。
4. 「あなた」
単身赴任先から帰ってきた夫、その目に隠された秘密が、長年の結婚生活に新たな波紋をもたらします。愛とは何か、そしてその愛を維持するためにどれほどの努力が必要なのかを考えさせられます。
5. 「すげえ泣くじゃん」
この短編では、旅行に出発する朝、甥が母親の行方不明のニュースを見つけたことで発生するドラマが展開されます。その瞬間、過去のトラウマが甦り、家族の絆と向き合うことになります。
6. 「たぶんそんな感じ」
施設で暮らしていた大叔母の口笛が、一時帰宅の際に止まらなくなったことから始まる物語。感情のタペストリーが描かれ、どこか懐かしくも愛おしい情景が広がります。
物語が伝えるメッセージ
一穂ミチの作品は、時に現実世界を不条理として捉えつつ、希望の光を見出すことができる作風が特長です。今作『たぶん、恋しい』でも、元妻の幽霊や架空のペットといった「そこにないもの」が、私たちを救ってくれる存在として描かれています。この本を通じて、読み手は日常の中でもがく感情の断片に触れ、共有することができるのです。
一穂ミチについて
大阪府出身の一穂ミチは、2007年にデビュー以来、多くの文学賞を受賞してきた実力派作家です。今作への期待に胸を膨らませる読者も多いことでしょう。
というわけで、多様な愛と共感を感じられる『たぶん、恋しい』。6月17日の発売をお楽しみに!
書籍情報
- - タイトル: たぶん、恋しい
- - 著者名: 一穂ミチ
- - 発売日: 2026年6月17日
- - 定価: 1,870円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-356951-0
- - 書籍購入リンク: 新潮社