高齢者の生活支援における「機能音」の可能性
高齢化社会が進む中、高齢者の自立した生活を支えるための新しいアプローチが求められています。株式会社ICは、中央大学の戸井研究室と株式会社フィートと共同で、高齢者に対する「機能音」の効果を研究し、その結果を2025年春季音響学会で発表する予定です。この研究は、高齢者の生活支援において音がどのように作用するのかを探るもので、その成果が非常に注目されています。
研究の背景
近年、高齢者が自立した生活を送ることが難しくなっているケースが増加しています。これに伴い、福祉人材の不足や、施設における負担の増大が問題視されています。この研究では、高齢者の認知機能に焦点を当て、音を用いて行動の変容を促すことが可能であるかを検証しました。音によってより規則正しい生活を支援する新たな手段を模索することが目的です。
機能音とは何か?
「機能音」とは、人間の心理や生理に直接作用するよう設計された音のことを指します。この音は、特定の行動を促すために設計されており、高齢者がより自立した生活を送れるようサポートすることを目指しています。具体的には、中核症状や周辺症状に影響を与える音を活用し、それに基づいて生活を促す仕組みになっています。
研究の成果
実験は、老人ホームの入居者5名を対象に行われました。まずは5週間の反復実験が行われ、音の目的を被験者に知らされないまま、彼らが無意識に行動を変えるかどうかが確認されました。次に3週間の継続実験では、機能音が行動にどのように作用するかを伝えつつも、どの音がどの行動に関連しているかは教えずに実施されました。
その結果、5名中4名が行動の変化を示し、音と日常行動の関連性を意識的に記憶していなかったことから、機能音が無意識的に影響を与えている可能性が確認されました。これにより、記憶や思考を介さずに人間の心理と生理に直接作用し、行動を促進することができることが示されました。
今後の展望
この機能音の仕組みは、現在展開中の「Picosense」というシステムにも応用されています。「Picosense」は、AIと音を利用して、健康的な生活をサポートすることを目的としています。音が高齢者の生活に自然に取り入れられることで、QOLの向上や健康寿命の延長が期待されています。
今後は、この音を用いた新たなソリューションを実社会に実装し、高齢者ケアの未来を切り拓くことを目指しています。科学的根拠に基づいたアプローチで、より多くの高齢者が自立し、充実した生活を送れるようになることを願っています。
この新たな「機能音」による高齢者の生活支援に期待が寄せられています。音の力を活用した新しい方法で、より良い未来の実現に向けた取り組みが進んでいます。
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