気象情報と連動した生成AI衛星タスキングシステムの実証実験成功

革新的な衛星観測技術が実現

2025年1月、東京都に本社を構える株式会社スペースシフト、株式会社ハレックス、そして株式会社Tellusの3社が連携し、世界で初めて気象情報と連動した生成AI衛星タスキングシステムの実証実験に成功しました。この実験は、衛星が自動的にタスキング（撮影要求）を行う仕組みをテストしたもので、気象データをリアルタイムで活用することの重要性を示しています。

プロジェクトの実施経緯

本プロジェクトは、スペースシフトのビジネス共創プログラムであるSateLabの枠組みの中で進められました。2024年4月に締結された業務提携に基づき、ハレックスからは気象情報の提供と専門知識が提供され、スペースシフトは実証実験システムの開発を担当。結果的に、気象情報をトリガーにした自動タスキングシステムが実現しています。

実証実験の成果とその影響

実証実験は2025年1月から2月にかけて行われ、ハレックスが発信した積雪に関する気象警報アラートをもとに、スペースシフトが開発した生成AIアルゴリズムがAOI（関心領域）を自動的に決定し、Tellusのオンデマンドタスキングシステムを通じて衛星にタスキングを行うことができました。これにより半自動での衛星撮影が実現し、実際に富士山地域での初撮影にも成功しています。

特に、自然災害が発生した際に迅速な衛星観測が行えることが本システムの強みです。気象情報を活用することで、災害の前兆を把握しやすくなり、事前対策が講じられる可能性が広がります。この実証実験は、今後の衛星観測における新たな可能性を示すものとして注目されるでしょう。

今後の展望

実証実験の成功に基づいて、今後はより多くの地域における気象予測と連動した衛星観測の拡大を目指します。また、AI解析技術のさらなる向上や、気象以外のトリガー情報による実証も進める計画です。これにより、防災や減災の分野で実用的なソリューションを提供することが期待されています。

代表者からのコメント

スペースシフトの代表取締役CEO、金本成生氏は「この実証実験の成功は、パートナー企業との協力によって実現できた成果です。生成AIによって自動的にAOIが決定されることで、災害時の衛星タスキングが現実的となりました。この技術は、社会の安全と安心に貢献できることを確信しています」と述べています。

一方、ハレックスの藤岡浩之社長は「気象データと衛星データを組み合わせた新しい価値創出の証明です。今後も共同開発を継続し、防災分野での新たなソリューションを提供します」とコメントしました。

最後に、Tellusの山﨑秀人社長は「オンデマンドタスキングシステムの社会実装を通じて、安全な社会の実現に貢献したい」と話しています。