近代の眼科医療において、近視治療の選択肢として注目を浴びている眼内コンタクトレンズ、通称ICL(Implantable Contact Lens)。この治療法は、角膜を削ることなく、視力を矯正することができるという特性を持っています。
2023年3月6日、東京都に本社を置くスターサージカル株式会社は、「急増する近視と視力矯正の最前線-ICL治療」と題したメディアセミナーを開催。セミナーには、近視が気になる20代から40代の男女300名を対象とした意識調査を基にした報告や、ICL治療の専門家たちによる討論が行われました。
このセミナーには、眼科医療の第一線で活躍する3名の先生方が登壇しました。山王病院アイセンターの清水公也センター長、グランドセントラルTOKYOアイクリニック主任執刀医の市川一夫先生、アイクリニック東京サピアタワー院長の北澤世志博先生がそれぞれ、ICL治療についての詳細や現状、さらには今後の展望について熱く語りました。
清水先生は、ICL治療の特徴について、「レンズは角膜を削らずに目の中に挿入され、必要に応じて取り出すこともできます。手術は日帰りで行え、切開創は約3ミリと非常に小さく、術後もメンテナンスがほとんど不要です」と説明しました。この治療法は、日常生活において裸眼で過ごせることから、多くの方にとって利便性が高い選択肢となるでしょう。
市川先生はまた、災害に備える視点からICL治療の利点についても言及しました。実際、東日本大震災の経験から、近視の患者さんがコンタクトレンズが使用できずに困った事例を紹介し、災害時には眼鏡やコンタクトレンズの使用に伴うさまざまなリスクがあることを指摘しました。実施した意識調査では、約6割の人々が災害時の視力矯正具について不安を抱えていることが明らかになっています。
一方、ICL治療の手術ができるのは、スターサージカルによって認定された資格を持つ眼科医のみです。北澤先生は、「認定医の数は年々増加しており、全国で約400名がこの資格を取得しています。手術は非常に効率的に行われ、両眼の手術は平均して9~10分で終了します」と述べました。
最後に、パネルディスカッションでは今後のICL治療の展望が語られ、清水先生が「ICL治療は眼鏡やコンタクトに次ぐ有望な選択肢ですので、ぜひご検討いただきたい」と締めくくりました。このような新しい治療法の登場によって、視力矯正の選択肢がさらに広がることが期待されます。
ICL治療は、眼内に挿入されるレンズによって視力を矯正する方法で、1980年代から開発が進められてきました。今日では世界75か国以上で広まり、数百万件の手術が行われています。安全で効果的な治療法として認知されつつあるICLの今後が楽しみです。