三菱電機、令和6年度電気科学技術奨励賞受賞
三菱電機株式会社はこのほど、令和6年度「第72回電気科学技術奨励賞」を受賞したことを発表しました。この賞は、公益財団法人 電気科学技術奨励会によって主催され、電気に関するさまざまな技術の発展を評価するものです。受賞したのは、次の3つの先端技術です。
1.
超薄型・高効率ヘッドライトを実現するRIR光学技術
2.
プリント基板穴あけ用レーザ加工機向けトランスレス高周波高電圧インバータ技術
3.
電鉄・電力システムの安定稼働を支えるパワーデバイスの耐湿環境性能の向上
受賞技術の詳細
1. RIR光学技術の実用化
自動車やバイクのヘッドライトにおいて、正確な配光が不可欠ですが、従来の技術にはサイズや光効率の低下といった課題がありました。三菱電機が開発したRIR光学系は、反射板を使用せず、レンズの屈折と全反射のみで必要な配光を実現しています。これにより、20mmの薄さで光の利用効率を1.8倍に向上させ、従来と同等以上の明るさを保持。デザイン性と省エネ性を向上させると同時に、製造の効率も大幅に改善されました。
2. トランスレス高周波高電圧インバータ技術
デジタル機器の進化により、高密度プリント基板の需要が増加しています。しかし、基板穴あけ加工には速度の向上が求められました。三菱電機では、MOSFETを用いた新しいインバータ技術を開発し、レーザ発振器を高周波高電圧で駆動することで、穴あけ速度を毎秒7,000穴に引き上げました。この技術は、デジタル機器の製造コストの削減や性能向上に大いに貢献しています。
3. パワーデバイスの耐湿性能向上技術
電力システムに使用されるパワー半導体は、気温や湿度の変化に強くなければなりません。三菱電機は、新しい構造を導入して耐湿環境性能を100倍向上させ、従来の高出力と低損失とのバランスを両立しました。この技術は、鉄道車両や再生可能エネルギー施設において安定した動作を実現し、カーボンニュートラルに向けた取り組みにも役立っています。
受賞の意義
電気科学技術奨励賞は、日本の産業の発展に寄与する優れた技術者を称えるものであり、その受賞は企業にとって大きな名誉です。三菱電機の受賞は、彼らの技術力が国際的に認められた証でもあり、今後のさらなる技術革新が期待されます。
受賞式は11月22日、東京の学士会館にて行われます。この機会に、三菱電機の先進的な取り組みに注目してみてはいかがでしょうか。