アプライド マテリアルズが発表した新しい半導体製造装置のご紹介
2023年10月7日、アプライド マテリアルズ(Applied Materials, Inc.)が、先進的なAIコンピューティングを支えるための新たな半導体製造装置を発表しました。この新しい製品群は、次世代のロジックチップやメモリチップの性能向上に寄与することを目的としており、特に注目されるのがKinex™、Xtera™、そしてPROVision™ 10という3つの装置です。これらはいずれもAI技術の進化を支える重要な役割を果たします。
Kinex™:業界初の統合型ハイブリッドボンディング装置
最初に紹介するのは、Kinex™という名のハイブリッドボンディング装置です。この装置は、複数のチップレットを結合して複雑なシステムを形成する先進的なパッケージング手法を具現化しています。Kinex™は業界で初めて、全てのハイブリッドボンディングプロセスを一つのシステムに統合しています。その結果、従来のやり方よりも大幅に性能や消費電力、コストの改善が実現されるのです。
Kinex™の特筆すべきポイントは、ダイレベルのトレーシング性能が高く、非常に複雑なマルチダイパッケージの管理が容易であることです。また、高精度の接合が可能で、配線ピッチを細密に設定できるため、製品品質が向上します。さらに、一体型のインライン計測機能によって、オーバーレイ計測やドリフト検出も高速化されています。これにより、業界内での活用が急速に広がっていることが分かります。
Xtera™:革新的なエピタキシャル層成膜装置
次に焦点を当てるのは、Xtera™です。この装置は、2nmプロセスノード以降のGate-All-Around(GAA)トランジスタを高性能化するために開発されました。Xteraの特長は、ボイドフリーかつ均一なエピタキシャル層を実現し、信頼性の高いトランジスタの構造を形成できる点です。特に、エピタキシャル工程を改善したことにより、高アスペクト比トレンチの充填が可能となり、トランジスタの性能向上に寄与しています。
Xteraはその独自の低容量チャンバアーキテクチャを採用しており、エピタキシャル成膜過程におけるガス消費量を従来装置に比べて50%も削減することに成功しました。この効率的なプロセスにより、数十億ものトランジスタの成長をボイドフリーで最適化し、一貫したセル間の均一性を提供しています。
PROVision™ 10:高精度のeBeamメトロロジーシステム
最後にご紹介するのは、PROVision™ 10です。この装置は、最新のeBeamメトロロジー技術を活用し、複雑な3Dチップの歩留まりを改善します。特に注目したいのは、CFE(Cold Field Emission)技術を用い、従来のTFE(Thermal Field Emission)技術に比べて、ナノスケールの解像度を最大50%高め、精度の高い計測が可能となっています。
PROVision™ 10は、3Dチップの様々なレイヤを透過して観察することができ、光学技術の限界を超える計測を実現しているため、次世代DRAMや3D NANDチップ向けとして非常に重要な役割を果たしています。そのため、複数の主要なロジックおよびメモリチップメーカーからの採用が相次いでいます。
まとめ
アプライド マテリアルズの新製品は、半導体製造業界における革新を加速させるものです。これらの装置は、AI技術の進歩を支える鍵となる要素であり、今後さらなる普及とともに、その性能を最大限発揮することが期待されています。特にKinex™、Xtera™、PROVision™ 10の三つの装置は、半導体製造の未来を形作る重要な技術です。最新の情報は公式ウェブサイトでも確認できますので、ぜひチェックしてみてください。