社会課題解決の鍵を握る「共感形成」ハンドブックの意義とは
株式会社三菱総合研究所(MRI)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けて、「社会課題への対応を成長につなげる『共感形成』ハンドブック」を制作しました。このハンドブックは、企業が社会課題解決に挑戦し、同時に成長機会を見出すための手引きとして設計されています。製品やサービスを通じた社会貢献の重要性が高まる中、企業はどのようにして消費者の心をつかむかが問われています。
1. 背景:企業が直面する課題
例えば、社会課題を解決する製品やサービスを開発した企業があったとしても、それが消費者に選ばれる保証はありません。社会価値がある製品であっても、消費者にとって共感を得られなければ、購買行動にはつながらないのです。この「隔たり」の原因は、社会価値を正論で示すだけでは消費者の生活に結びつかないことにあります。「対価を支払う意味」を感じられないままでは、自発的な選択につながりません。
2. ハンドブックの概要
本ハンドブックは、企業が社会価値をどのように形成し、成長に結びつけるかを具体的に示しています。特に注目すべきは、以下の3つのポイントです:
2.1 検討のステップ
「共感形成」のプロセスは、行政や非営利組織のソーシャルマーケティングの理論を取り入れています。これは「対象を決定→消費者に試してもらう→施策に落とし込む」という3段階の9プロセスで整理されており、企業はこれを守ることで、共感形成を一過性ではなく持続可能な取り組みとして実現可能です。
2.2 消費者セグメントの理解
消費者3,000人を対象とした調査から、消費者の意識や関心に基づいて、「現状維持層」「ライト受容層」「規範実践層」「積極支援層」の4つのセグメントに分類できることが明らかになりました。各セグメントの価値観や需要に応じて、効果的なコミュニケーション戦略を立てることが重要になります。
2.3 実践事例の紹介
本ハンドブックでは、7社の企業事例を引き合いに出し、共通する成功のポイントを示しています。例えば、社会価値を「翻訳」し、消費者が実際に「体験」できるような施策が、選択を妨げる「障壁」を取り除く手助けをするのです。これらの事例をそのまま模倣するのではなく、各々の企業の状況に応じた打ち手を考え出す材料にしてほしいと考えられています。
3. 今後の展望
本ハンドブックが提案する共感形成の考え方は、幅広い分野で活用可能です。ただし、消費者が選んでくれる条件は専門分野や具体的な商材によって異なるため、実際の商材を想定しながら策略を練ることが必要です。
MRIでは三菱食品と共に環境・社会配慮型の食品を選びやすくするための研究も進めています。企業と消費者との新たな「共感」の架け橋を築くことで、日本社会全体の持続可能性に貢献していきます。
今後も、消費者データの分析を通じて、企業や関係機関との連携を深め、社会価値を企業成長につなげる取り組みを支援し続けていく所存です。
ハンドブックの詳細はNEDOの公式ページからも確認できます。環境づくりが求められる今、私たちの意識と行動が未来を変える大きな力となることを示す有意義な資料とも言えます。