心で感じる映画『郷』
約10年間の構想を経て、感情をストレートに映像で表現する映画『郷』が、2026年1月2日に鹿児島で先行公開され、続いて全国公開されることが決定しました。監督の伊地知拓郎氏は、北京電影学院を卒業後、視聴覚言語を独自に研究し、時折台詞を排除した映画制作に挑戦してきました。その成果がついに結実した本作は、93分間の深遠な心の旅へと観客を誘います。
作品の概要
映画の冒頭には、高校球児たちが厳しい練習に励むシーンが広がります。ARRI提供による独特の描写は、テレンス・マリック監督を彷彿とさせるもので、全編を通してマジックアワーの美しい光の中で撮影されています。この視覚的な美しさは、観る者を強く引き込みます。
『郷』は、故郷や土、無常、そして郷愁といったテーマを巧みに織り交ぜた作品です。それぞれの登場人物は、自己探求や人生設計に悩みながら成長していく様子が描かれており、観客にも「今をどう生きるか」という問いを投げかけます。この映画は、文部科学省より選定を受けた作品でもあり、学校教育の一環として、心の健康や人生設計について考える機会を提供しています。
ストーリー
物語は、高校野球部に所属する岳(がく)の奮闘を中心に展開されます。彼は厳しい練習や仲間との関係の中で、自らの人生を見つめ直し、成長を遂げていきます。特に、幼なじみの隆(りゅう)との再会によって過去の懐かしさが呼び覚まされ、自然の中で過ごした少年時代の記憶もよみがえります。夏の田園風景、そして青空や入道雲が描かれた情景音楽が、心の内面を映し出しているのも特徴です。
監督の思い
伊地知監督は、自らの経験を基にしてこの映画を製作することに至りました。「今をどう生きるか」というテーマを掲げることで、日本の若者たちが抱える精神的な問題や自殺率の高さに対する警鐘を鳴らしています。作品を通じて、人々の心に寄り添い、何らかの形で救いとなることを願っており、そのために映画制作を手段としています。
教育的意義
『郷』は、中学・高校での「生き方」や「人生設計」の教育においても重要な役割を果たしています。作品を通じて心の成長を促す学習プログラムが全国的に広がっており、今後の展開にも期待が寄せられています。
上映情報
- - 先行上映: 鹿児島ミッテ10 (2026年1月2日より)
- - 全国公開: 2026年1月9日より順次拡大
主要上映劇場には、新宿ピカデリー、名古屋ミッドランドスクエアシネマ、大阪なんばパークスシネマなどが含まれています。前売り券は税込1,500円で販売中です。
『郷』は、観客に新たな気づきをもたらす、美しい映像と共に心に響くストーリーを提供します。ぜひその目で確かめていただきたい作品です。