鈴木憲和農林水産大臣が泉大津市を訪問
令和8年の9月3日、農林水産大臣の鈴木憲和氏が大阪府泉大津市を訪れ、同市が進行中の「農業連携」「学校給食」「熟成米プロジェクト」を視察しました。泉大津市は、農地面積がわずか2.2%、食料自給率は約1%と、都市部に位置する消費地としての特性を持っています。それにもかかわらず、同市は生産地との協力を通じて「食と農」の課題に取り組む姿勢を示しており、大臣はその現場を直接訪問しました。
泉大津市では、食料供給を取り巻く課題や、生産地の農業従事者の高齢化、担い手不足といった厳しい現実に直面しています。それに対応すべく、同市は「安全・安心な食糧の安定的確保に関する構想」を令和5年3月に策定。現在、全国14自治体との農業連携協定を締結し、生産地と消費地の関係をより強固なものにする取り組みを進めています。
市立小津中学校の学校給食
鈴木大臣は最初に市立小津中学校を訪問し、生徒たちと一緒に学校給食を試食しました。泉大津市は令和5年度から市内全ての小中学校において、米の供給元を農業連携先で生産された「有機JAS米」または「特別栽培米」に切り替えています。これにより、生産者の安定した販路を確保し、高品質な給食を提供することを目指しています。
さらには、妊婦向けに「金芽米」の提供など、ライフステージに応じた米の活用を進め、市全体での米の消費拡大に寄与しています。此によって市の米の消費量は従来比で約2倍に増加しています。
熟成米プロジェクト
次に、鈴木大臣は泉大津市の防災倉庫に設置された熟成保管庫を視察しました。このプロジェクトは泉大津市と東洋ライス株式会社の協力によって展開され、同社の熟成保管技術を利用して、米の品質を保ちながら熟成保管することを目指しています。
この取組みは、近年の不安定な米価に対する解決策の一つとも位置付けられています。米は時間が経つほど価値が低下するため、いかにしておいしさを保ちながら長く保存し、必要なときに供給できるかが重要です。このプロジェクトでは、米を熟成させることでその価値を高める新たな発想が求められています。実証実験として、毎年の試食会で米の味や品質を検証するほか、熟成した米を学校給食にも導入していく計画です。
大臣と市長のコメント
鈴木大臣は、泉大津市が米の産地と消費地の直接のつながりを促進し、子どもたちにおいしい米を提供する取り組みを高く評価しました。また、米を安定的に確保することで、学校給食を通じて継続的な消費につなげられる点、そして長期間保管してもおいしい米となる熟成保管技術に期待を寄せました。
泉大津市の南出賢一市長は、農地をほとんど持たない市の特性を踏まえ、消費地からのアプローチが生産地との連携の重要性をより際立たせると述べました。市長は、有機米や特別栽培米の活用を通じて新たな需給の循環が形成されることを目指し、さらにその動きを全国へ広めることを期待しています。
この訪問は、農業の新たなモデルが泉大津市から全国へと広がる契機になることが期待されています。