衛星データを活用した新たな社会実現に向けて
慶應義塾大学と三菱電機が共同で進める「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」プロジェクトが神奈川県鎌倉市を舞台にスタートしました。このプロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の地域共創分野・本格型プロジェクトの一部であり、衛星データを駆使して都市の特性を分析し、地域の幸福度向上を図ることが狙いです。特に、まちづくりにおける新しい視点を提供することを目的としています。
この取り組みでは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの教授である田中浩也氏がプロジェクトリーダーを務め、地域特性の把握に衛星データを活用します。住民からのアンケート結果と組み合わせることで、地域の「まち特徴量」に関する分析が行われ、「循環者」としての新たな幸福感を創出する社会経済モデルの確立を目指しています。これは、資源循環を促進し、相互にリスペクトし合う社会の形成に寄与するものです。
衛星データの活用法
三菱電機のサポートにより、衛星データは鎌倉市の地形や環境の変化を客観的に評価するための重要な資源となります。具体的には、三菱電機が培った衛星画像解析技術とAI技術を使用して、地域に関連するデータを抽出し、その情報をもとに幸福度向上に必要な施策を打ち出すことを目指しています。このようにして、データに基づく意思決定が行われることで、より精度の高い地域振興戦略が策定可能となります。
プロジェクト進展と未来の見通し
今後、実証実験から得られるデータは本プロジェクトに参加する団体と共有され、国内外の中都市に向けた将来的なまちづくりの課題解決に再利用されます。特に、鎌倉市の特色を生かした観光や地域振興において、住民の幸福度向上を実現するソリューションが期待されています。
関係者の期待
プロジェクトリーダーの田中氏は、「三菱電機の技術と慶應義塾大学の研究力の融合によって、新しいまちづくりが進むことを期待しています」と述べています。また、鎌倉市の副市長である比留間氏は、「今回の研究が日々のローカルな課題解決に新しい視点をもたらし、鎌倉の魅力を更に引き出していくこと」への期待を表現しています。
三菱電機の鎌倉製作所の若菜所長も、「社会の安心・安全・快適の実現に向けて、我々の技術を活かして鎌倉市に貢献できることを嬉しく思っています」とコメントしており、様々な期待が寄せられています。
実現を目指す持続的社会
2019年に始まった本プロジェクトは、2033年までの最大10年間の活動を予定しており、持続可能な社会への移行を目指しています。デジタル技術を駆使して資源循環を促進し、より充実した生活を提供するための新しい社会構造の確立を目指しています。
今後も、慶應義塾大学と三菱電機の共同研究がどのように地域社会に影響を与えるのか、多くの方々からの注目が集まることでしょう。