東海最大の朝市が提唱する新たな産業概念
東海地方で最大級の朝市である「暮らしの朝市」が、ただの買い物の場を超え、“産業”としての価値を再考するプロジェクトを始めました。このプロジェクトは、出店者たちの変化に焦点を当て、彼らがどのように地域社会に寄与しているかを探る内容になっています。
朝市の背景と目的
「暮らしの朝市」は2011年に甚目寺観音てづくり朝市としてスタートし、現在では東別院を含む複数の拠点で年間500組以上の出店が行われています。地域の農産物や手作り品が揃い、作り手と使い手が直接つながる場を提供しています。その運営を行うのは、株式会社レジスタと「暮らしの朝市実行委員会」です。
この新たな取り組みでは、「なぜこの朝市が存在するのか?」といった問いを通して、地域経済における朝市の位置づけを明らかにしていくことを目的としています。出店をしている人々の声や生活の変化を取り上げ、その意味を社会に伝えます。
「暮らしの朝市 REPORT Vol.1」の発行
このプロジェクトの第一弾として出版された「暮らしの朝市 REPORT Vol.1」では、出店者へのアンケートやインタビューを基に、彼らの暮らしや地域との関わりを分析しています。出店者にとって、朝市は単に売上を上げるための場ではなく、自らの思いを広げる場であり、地域に貢献するための重要な存在であることが分かります。
アンケートでは、380件の有効回答を受け、出店動機や売上、地域とのつながりなどが探求されました。この結果をもとに、出店者がいかに朝市を通じて価値を見出しているのかを定量的に把握し、背景に隠れたストーリーを浮かび上がらせました。
朝市の持つ多様な価値
この取り組みを通じて明らかにされたのは、「朝市」という場が単なる物販イベントではなく、地域内での人々のつながりを育む場であること。出店者や来場者の声は、それぞれの「小さな経済圏」が形成される様子を如実に表しています。
今後の展望
「暮らしの朝市」は、2025年度末に全体を統合したインパクトレポートを正式に発行する予定です。このレポートでは、出店者、来場者、地域の視点をまとめ、朝市が社会に与える影響を多角的に評価します。これにより、「朝市」が新たな産業として長期的に認識されることを目指します。
結び
今後、地域に根づいた小さな営みが正当な評価を受けられるように、市民や出店者との対話を重ねていくことで、さらにその価値を広げていくことが求められます。人と人が交わる空間としての朝市、その価値を再発見する取り組みは、地域社会に新たな光をもたらすことでしょう。