視覚支援校へ寄贈された「歩導くん」：万博レガシーを次世代へ

万博レガシーを未来へ繋ぐ

大阪・関西万博は、様々な技術や取り組みを通じて、多くの人々に希望を与えるイベントでした。その中でも、錦城護謨株式会社（以下錦城護謨）が行った視覚障害者歩行誘導マット「歩導くんガイドウェイ」の寄贈は、特に注目すべき取り組みと言えます。この取り組みは、万博の精神を受け継ぎ、教育現場における合理的配慮を実現するための重要なステップとなっています。

錦城護謨の寄贈の背景

錦城護謨は、家電製品のゴム部品製造において高いシェアを誇り、近年ではバリアフリー推進に向けた事業も展開しています。万博閉幕後、同社は万博の施設や設備を次世代に活用し、日本の視覚障害者支援に寄与することを目指しました。今回、大阪府立北視覚支援学校及び南視覚支援学校に寄贈した「歩導くんガイドウェイ」と「ガイドレット」は、その一環です。

教育現場への配慮

視覚支援学校では、児童・生徒が白杖を使用することなく、身体感覚による歩行を重視しています。このため、学校内で安全に移動できる環境が必要とされています。錦城護謨は、教育現場のニーズに応じて、実際に通行が多い廊下や職員室周辺に歩行誘導マットを設置しました。これにより、「職員室内で通行の流れが明確になった」という学校関係者の声も聞かれ、日常の移動がよりスムーズになるという大きなメリットをもたらしました。

採用された製品の特徴

「歩導くんガイドウェイ」は、視覚障害者の方が安心して歩行できるように設計されています。接触することで音や感触から目的地に導くため、視覚のない方にとっても信頼できるナビゲーターです。また、ガイドレットは既存の床面に傷をつけずに設置可能で、メンテナンスも容易です。特に、教育現場ではその柔軟性が求められます。今回の寄贈に際し、使用された製品を丁寧に清掃し、再設置を行ったことで、環境にも配慮した取り組みが実現されました。

社会的意義と今後の展望

2024年4月には障害者差別解消法が改正され、民間企業にも合理的配慮の提供が義務付けられます。この法改正を受けて、全ての人々が快適に移動できる環境整備は今後ますます重要なテーマとなります。錦城護謨の取り組みは、単なる資源循環にとどまらず、誰もが快適に暮らせる社会づくりへの意識を醸成するための第一歩となるでしょう。