臨床組織科学(COS)とSECIモデルの連携
臨床組織科学(COS)は、複雑系科学や神経科学、組織心理学を融合させた新しいアプローチであり、組織の相互作用構造を理論化し、その中に介入するためのフレームワークです。最近、株式会社DroRが発表した論文『Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations』では、COSの思考モデルが、野中郁次郎のSECIモデルとどのように関連するのかが探求されています。
SECIモデルとは
SECIモデルは、知識創造のプロセスを暗黙知と形式知の相互変換を通じて示す理論であり、共同化、表出化、連結化、内面化の4つのプロセスから成り立っています。このモデルは、日本発のアプローチとして国際的にも影響を与えてきましたが、COSはその枠組みに補完的な視点を提供します。
COSの特徴
COSは、組織の変化を「個人の行動変容」ではなく、「組織アトラクターの遷移」として捉えることが特長です。具体的には、Field Gradient TheoryやLoop Conversion Design、Neural Base Designといった技法を用いて、組織変革の過程を理解し、実践します。
暗黙知の形式知への変換
暗黙知を形式知へと変換するためには、メンバー同士が互いに経験や知見を言語化できる場が必要です。このためには心理的安全性やフィードバックループの存在が重要で、COSはそれらを観察し、設計した相互作用構造によって実現を目指します。特に、身体的気づきやシェアリングの技法を強調し、言語化される前の違和感を重要な資源として扱います。
SECIモデルとCOSの補完関係
COSはSECIモデルを単に置き換えるのではなく、知識創造のための相互作用構造や心理的安全性という観点で補完的なアプローチを取ります。このように、両者の連携は、組織における知識創造をより豊かにし、変革プロセスを加速させる可能性を秘めています。
組織変革の実際
特に日本企業では、暗黙知や空気、忖度などの文化が強く影響し、そのための相互作用がしばしば明文化されにくい特性があります。COSでは、これらの隠れた相互作用を見える化し、実質的な組織アトラクターの変化のためのフレームワークを提供することを目指しています。代表の山中真琴氏は、「組織の意思決定において、言語化される前の違和感や空気が大きな影響を及ぼす。それをいかに有効に使うかが重要だ」と述べています。
未来への展望
今後、COSとSECIモデルは、組織変革の場においてどのように活用されていくのか、その有効性が注目されています。本リリースは解説シリーズの一部という位置づけであり、次回は「臨床組織科学(COS)とSengeの学習する組織」をテーマに新たな知見を提供します。
まとめ
臨床組織科学(COS)とSECIモデルの融合を通じて、組織の変革に必要な視点や技法が模索されています。今後もこの動向に注目し、組織変革のための新たなアプローチがどのように進化していくのかを見守りたいところです。