北米でのメタノール燃料供給網構築への新たな挑戦

最近、船舶向けのメタノール燃料供給網の構築に向けた新たな取り組みが始まりました。American Bureau of Shipping（ABS）、ENEOS、日本郵船、 SEACOR Holdingsという四社が共同で、米国ヒューストン近郊でのこのプロジェクトを始動させることとなりました。

商業規模としては米国初の試み

このプロジェクトの注目ポイントは、米国初の商業規模でのShip to Ship方式によるメタノール燃料の供給網の構築を目指している点です。国際海運業界では、2050年に向けた温室効果ガス（GHG）排出の実質ゼロを目指した取り組みが急務となっており、これは大きな一歩となるでしょう。特に、再生可能エネルギーやバイオ由来の低炭素メタノールは、常温常圧で扱いやすく、GHGの削減に貢献する新しい燃料として期待されています。

各社の具体的な取り組み

ENEOSの役割

ENEOSは、出資先のC2Xがルイジアナで進めているBeaver Lake Renewable Energyプロジェクトからグリーンメタノールの調達を目指します。この低炭素メタノールを、船舶運航会社に供給することで、プロジェクトの実現を加速させる狙いです。

日本郵船の貢献

日本郵船は、代替燃料バンカリング分野での豊富な経験を活かし、メタノール燃料供給船の整備に向けたノウハウを提供します。これにより、従来の燃料供給ネットワークとは異なる、新たな供給方式を構築する手助けをします。

SEACORの知見

SEACORは、米国における内航船の豊富な運航経験をもとに、メタノール燃料供給船の運航や保有に関するノウハウを提供します。その経験を活かし、安全かつ効率的な運航が行えるよう支援します。

ABSの支援

ABSは、メタノールバンカリングに関する安全基準や規制面でのガイドラインを提供し、全体のプロジェクトを支援します。これにより、米国におけるメタノール燃料供給の安全性と効率性が保障されることになります。

カーボンニュートラル社会の実現に向けて

この取り組みを通して、これらの企業は、海運業界におけるカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指しています。メタノールという新たな燃料は、環境への影響を最小限に抑えつつ、持続可能なエネルギー供給を実現する鍵を握る存在となるでしょう。国際社会において注目されるこれらの動きを踏まえ、今後の展開が期待されます。