現代ショートショートの名手、田丸雅智が贈る新作短編集『24のひらめき!と僕らの季節』が2024年11月27日に発売されます。これは、彼の式デビュー10周年を記念した特別な作品で、テーマは「二十四節気」。
本書には春を告げる「人」や星空での川下り、お盆に帰ってくるデパート、初日の出との綱引きなど、日本の四季を彩り豊かに表現した珠玉の物語が24篇収められています。それぞれの物語では、日本の四季の不思議な側面や、観察することで気づく微細な変化が描かれており、読み手に新しい視点を提供します。
また、各話の最後にはその節気に関するミニガイドが付いており、短い時間で多様な季節の魅力に触れることができるのも特徴です。読者は5分ほどの短編を通じて、春夏秋冬の楽しさをさまざまな角度から味わうことができるでしょう。
田丸自身はこの本を通して、自身が季節から受け取ってきた大切な思いや「もしも」の先に広がる景色を伝えたいと述べています。「この本には、ぼく自身が季節からもらってきた大切なものをたくさん閉じこめました。お楽しみいただければうれしいです!」と彼はコメントしています。
本書の発売を記念して、特に注目すべきは、今まさに適した節気である「小雪」をテーマにした物語「カワセミの石」と、春の始まりにふさわしい「春告人」の全文がWeb河出にて公開される点です。
「カワセミの石」では、高校生の祐樹が公園で出会う不思議なアクセサリーが物語の中心にあり、店主との奇妙な会話が織りなすストーリーが展開されます。一方、「春告人」では、中学生の美菜の肩に乗ったウグイスが印象的なキャラクターとして登場し、彼女の家族との会話の中で春の訪れが伝えられます。
これらの物語は、読者に短い時間で楽しむことができる新感覚の読書体験を提供し、日本の四季に対する理解や感受性を深めさせることでしょう。
短編とは、アイデアに基づいた印象的な結末を持つ物語であり、田丸の作品も例外ではありません。彼のショートショートは、わずか5分や10分で読める短さにもかかわらず、多様な感情を呼び起こす魅力があります。驚きや笑い、感動を与えられる作品が揃っているため、どなたでも楽しむことができるでしょう。
田丸雅智は、1987年に愛媛県で生まれ、東京大学を卒業した後、2011年に『物語のルミナリエ』で作家デビューを果たしました。現在は多くのショートショート関連活動を行っており、著書には『海色の壜』や「おとぎカンパニー」シリーズなどがあります。また、京都の文学文化を活かし、ショートショートの普及に努めています。
『24のひらめき!と僕らの季節』は、春夏秋冬の風情を感じながら、現代の感覚で楽しむための最適な一冊です。思わず手に取ってみたくなる作品となることでしょう。
発売日が待ち遠しいこの短編集、みなさんもぜひ楽しんでみてください!