恩田陸の名作『ユージニア』が完全版として再び登場

恩田陸の傑作ミステリー『完全版ユージニア』が登場

2025年10月2日、株式会社KADOKAWAから、恩田陸の名作『ユージニア』の完全版が発売されることが発表されました。この作品は、発売から20年が経過した今もなお、多くの読者に愛され続けています。「伝説の本」として知られるこのミステリーは、日本推理作家協会賞を受賞しており、作家にとっても重要な作品です。

作品の新たな魅力

完全版『ユージニア』は、ただの再版ではありません。2005年に刊行されたオリジナル版の再現を超え、以前の版では叶わなかった装丁の技術やデザインが施されています。特に箔押しや型押しの技法が取り入れられ、保護函入りでありながらその美しさも際立っています。恩田陸自身も「この本の装丁の凄さを、当時は半分も理解できていなかった」とコメントしています。

この完全版では、視覚に障害のある少女・緋紗子が感じる世界を象徴するようなデザインが意識されています。カバーは、白い膜の向こうに美しい風景が透けて見えるような工夫が施されており、本の中に触れることで、その世界観を視覚以外の感覚でも感じ取ることができるようになっています。これにより、読者は作品のテーマにより深く共感できるでしょう。

独自の造本と内容の再構築

この完全版の特徴は、作品の魅力を引き立てるために特別に設計された造本です。平衡感覚を失うようなひずんだ本文デザインや、冒頭に挟み込まれる「現場に残されたメモ」など、読者を物語の中に引き込む工夫が多数盛り込まれています。これにより、読者は物語世界に一層深く倫系し、緊張感をもってページをめくることでしょう。

また、巻末には「ユージニアノート2025」として、制作の裏側を綴った特別コンテンツも用意されています。ファンにはたまらない情報が詰まったこのノートは、作品の理解を深める手助けとなります。

物語のあらすじ

『ユージニア』の物語は、数十年前に青澤家で行われた米寿と還暦を祝うパーティーで起きた毒殺事件を中心に展開します。その事件で生き残ったのは、目が見えない少女一人。多くの人々が関与するこの事件は、様々な視点から再構成され、見落とされた「真実」が問われます。読者は、物語を追う中で、真実とは何かを探し続けることになります。

作品情報

『完全版ユージニア』の発売日は2025年10月2日（木）で、定価は6,050円（税込）です。460ページにわたるこの書籍は、著者恩田陸が長い間磨き上げてきた傑作であり、全国の書店で手に入れることができます。

この機会に、恩田陸の新たな一面を覗き見ることのできる『完全版ユージニア』をぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。本好きならずとも、心が惹かれる作品となっています。