一穂ミチさんの最新作『光のとこにいてね』が、第30回島清恋愛文学賞を受賞しました。
同賞は金沢学院大学が主催する文学賞で、大学生が候補作の選考に携わるという、全国でも珍しい特徴があります。今年の選考委員は、村山由佳さん、桜木紫乃さん、島田雅彦さんの3名でした。
『光のとこにいてね』は、一穂ミチさんが2022年に刊行した作品で、すでに「キノベス!2023」第2位、第168回直木賞候補、2023年本屋大賞第3位に選ばれるなど、高い評価を得ています。
物語は、7歳の少女・小瀧結珠(ゆず)が、母に連れられて郊外の寂れた団地を訪れることから始まります。母は、謎の男の部屋に消えてしまい、結珠はそこで自分と同じ歳の少女・果遠(かのん)と出会います。裕福な家庭に育つ結珠とは対照的に、果遠は貧しい暮らしをしています。しかし、二人の少女は急速に仲を深め、毎週のように団地を訪れる結珠は、果遠との秘密の友情を育んでいきます。
一穂ミチさんは、2007年に『雪よ林檎の香のごとく』でデビューし、ボーイズラブ小説を中心に作品を発表してきました。近年は一般文芸作品にも進出し、『スモールワールズ』が2022年本屋大賞第3位、吉川英治文学新人賞を受賞するなど、話題を集めています。最新作の『ツミデミック』でも第171回直木賞候補にノミネートされています。
『光のとこにいてね』は、一穂ミチさんの才能が遺憾なく発揮された、感涙必至の物語です。ぜひ手に取って読んでみてください。