新たな測距技術の誕生
京セラ株式会社が開発した「3眼AI測距カメラ」は、製造現場における労働力不足を解決するための画期的な技術です。このカメラは、3つのレンズを備え、AIによる高度な認識能力を利用して、これまで測定が難しかった細い物体や光を反射する物体の距離やサイズを高精度に測定することを可能にしました。
3眼AI測距カメラの特長
新しいカメラは、特に細い物体や形状が不規則な物体に対する距離測定に優れています。直径0.3mmの極細ケーブルまで測定可能で、金属や半透明のプラスチックなど、さまざまな材質の物体の認識も行えます。これらの特性が、製造業をはじめとする多くの分野での自動化や効率化に寄与することが期待されています。
開発の背景
先進国では、労働力不足が深刻な問題となっており、これを補うために生産性向上が求められています。京セラは2024年に「2眼AI測距カメラ」を開発しましたが、さらなる進化が必要とされ、限界を克服するために「3眼AI測距カメラ」の開発に至りました。
測定精度の向上
このカメラは、「左-中央」、「中央-右」、「左-右」の3組の視差情報を取得することで、誤認識を減少させ、測定の信頼性を大幅に向上させています。これにより、先を見越した物体認識が可能となり、さまざまな産業での活用が見込まれています。
例えば、製造業においては、電子基板や織物など、繰り返しパターンの多い検査工程で誤認識のリスクを下げることができます。また、医療分野でも、手術ロボットにおいて重要な針や糸などの細い器具の高精度な位置測定が可能となります。
農業にも期待される適用範囲
さらに、この技術は農業分野でも活躍が期待されます。果実や葉が互いに遮蔽し合う複雑な環境で、死角の少ない認識と位置測定を実現。それにより、収穫ロボットの精度向上が図れるでしょう。
世界最大のテクノロジー見本市に登場
この「3眼AI測距カメラ」は、2026年1月6日から9日にかけて米ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」において、京セラのブースで展示される予定です。この展示を通じて、多くの企業や業界関係者にその先進的な能力をアピールすることが期待されています。
結論
京セラは今後も、最新の技術を活かして、社会が抱えるさまざまな課題を解決するために積極的に取り組んでいく方針です。また、新しい測距技術がもたらす可能性には大いに注目が集まっています。