新たな学園ミステリーが誕生
東京創元社と小説投稿サイト「カクヨム」が共催する「東京創元社×カクヨム学園ミステリ大賞」の受賞作品が、12月11日に同時刊行されることが発表されました。今回は、雨井湖音による『僕たちの青春はちょっとだけ特別』と、谷夏読による『この恋だけは推理(わか)らない』の二作が登場。いずれも青春をテーマにした心温まるミステリーで、読者を引き込む独特の世界観が魅力です。
『僕たちの青春はちょっとだけ特別』
雨井湖音の作品は、高等支援学校を舞台にした連作短編集です。主人公の青崎架月は、新たな環境へ進学したことで人生が大きく変わっていきます。事件が発生するごとに、彼は友人と共に謎を解決していく中で、彼自身の成長や青春の重要性に気づいていくことになります。
作品の背景
青崎の物語は、彼が中学時代に受けていた薄暗い扱いから解放され、高等支援学校での新しい仲間との出会いによって描かれていきます。彼を取り巻く小さな事件──たとえば、ゴミ散乱事件や生徒失踪事件──が彼と友人たちの絆を深め、成長を促していく様子が描かれています。筆致は繊細で、読者は架月の感情や変化を共に体験することができます。
『この恋だけは推理(わか)らない』
一方、谷夏読が手がけた『この恋だけは推理(わか)らない』は、高校生男子が語り手として恋愛相談を受けるユニークな設定で進行します。彼は「恋愛の神様」と呼ばれる男子、岩永朝司であり、恋愛に無縁の彼が、女子生徒の小井塚咲那と共に恋の謎を解決していく物語です。
作品の魅力
この作品の魅力は、若者の恋愛に対する真剣な探求心と、時折見せるコミカルなやり取りがある点です。架月と咲那は、恋に関する様々な課題を一緒に乗り越えることで、友情の深まりを感じながら読者を楽しませます。青春特有の爽やかさと少しずつ成熟していく姿に、共感を覚えることでしょう。
同時刊行の意義
今回の同時刊行は、学園ミステリーに新たな息吹を吹き込み、現在の若い世代にとっても身近なテーマを扱っている点で大いに注目されます。両作品とも高等支援学校や高校生の現実的な悩みを取り入れつつ、ミステリーというジャンルで展開されるため、一見すると異なる二つのストーリーが、実は共通の青春のテーマで繋がっているといえます。
12月11日の発売日をぜひお見逃しなく。心温まる物語が、あなたを待っています!