新たなスキンケア成分、サクリピンの発見
名城大学の研究チームが、スイゼンジノリから得られる紫外線吸収物質「サクリピン」の新たな美容効果を解明しました。この研究は、皮膚の老化を食い止める可能性を秘めたサクリピンの、さまざまな利点を明らかにしています。具体的には、サクリピンがエラスターゼ活性を阻害し、肌のコラーゲンとヒアルロン酸の産生を助けることが示されました。
スイゼンジノリとサクリピンの関係
スイゼンジノリ(学名: Aphanothece sacrum)は日本固有の淡水性ラン藻で、九州の一部地方にしか存在しない貴重な存在です。古くから食用として利用されており、その成分であるサクリピンもまた美容に役立つとされています。このラン藻が生成するサクリピンは、日焼けや炎症を引き起こすUVAおよびUVBを良好に吸収し、紫外線対策としての利点があります。これに加え、抗酸化作用と抗糖化作用を持ち、年齢による肌の変化を防ぐ機能も期待されています。
研究の進展とスキンケア効果の解明
本研究で明らかにされた主な効果は以下の通りです:
1.
エラスターゼ活性の阻害 : サクリピンA、Bは、肌の弾力を保つエラスチンを分解するエラスターゼの活性をしっかりと阻害します。これにより、肌のハリを維持し、老化の進行を抑える助けとなります。
2.
コラーゲンおよびヒアルロン酸の生産促進 : サクリピンはヒトの皮膚に存在する線維芽細胞への影響を及ぼし、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進。これにより肌の質感が改善される可能性があります。
3.
美白効果 : 紫外線を浴びることで促進されるメラニン生成を抑える効果があり、シミやそばかすの原因となるチロシナーゼの活性を阻害すると報告されています。
サクリピンの安定性と商業化の可能性
サクリピンの大きな利点の一つがその化学的安定性です。光や熱に対しても安定しているため、さまざまなスキンケア製品への配合が可能です。実際に、洋服の生地に染み込ませても分解されることなく、効果を発揮することが確認されています。この特性から、サクリピンは新世代のスキンケア成分としてのポテンシャルを持ち合わせています。
今後の展望
スイゼンジノリの採取量が減少している中、サクリピンの需要増加は養殖業の振興にも寄与すると期待されています。サクリピンの商業化が実現すれば、スイゼンジノリの保存にもつながるかもしれません。
この研究は2024年11月2日に米国の国際科学雑誌「ACS Agricultural Science & Technology」に掲載され、世界中の研究者や業界関係者の注目も集めています。名城大学のこの成果が、スキンケア産業における新たな革新を生み出すことに期待が寄せられています。
まとめ
名城大学によるこの革新的な研究は、スイゼンジノリから得られるサクリピンの美容効果を再発見し、未来のスキンケア市場に良い影響を与える可能性があります。サクリピンが持つさまざまな利点が、多くの人々の肌の健康をサポートする日が来ることを期待しています。