心のバリアフリーが飲食業界にもたらす新たな価値
飲食店における「バリアフリー」は、ただ単に物理的な障害物を取り除くことにとどまらず、心のバリアをも取り去ることが求められています。このテーマについて、甲子園大学で特別講義が実施され、NPO法人ココロのバリアフリー計画の代表理事である池田君江氏が講師を務めました。彼女は、自身の体験を交え、飲食業界の新たな価値と可能性を示しています。
特別講義の概要
池田氏は、自身が車椅子利用者として体験してきた多くの飲食店の現状を語りました。単に段差を解消するだけでなく、心のバリアをどう取り去るかが重要であると指摘し、些細な言葉かけが安心感を与えると説明しました。
「大丈夫ですか?」「お手伝いしますか?」という一言が、外食体験を大きく変える可能性を秘めているのです。このようなコミュニケーションの重要性を学生たちは学び、「食ビジネスにおける接客文化」を新たな視点から捉える機会を得ました。
学生たちの反響
講義を受けた学生たちからは、池田氏の話に感銘を受けた感想が寄せられました。中には、「思いやりの一言がこれほど大切だとは知らなかった」という意見や、「飲食の仕事は人の人生を支える責任が大きいと実感した」という声もありました。また、将来の職場で学んだことを実践したいとの期待感も表れました。
インクルーシブな飲食店への道
一般社団法人これからの時代の飲食店マネジメント協会、通称「これマネ」は、飲食店経営者や学生、地域社会をつなぐ教育活動を進めています。池田氏の講義は、同協会が推進するダイバーシティやインクルージョンの一環として位置づけられており、多様な人々が快適に利用できる飲食店の実現を目指しています。
講師プロフィール
池田君江氏は、2007年に渋谷の温泉施設爆発事故に遭遇し、以後車椅子生活を余儀なくされました。2013年に設立したNPO法人ココロのバリアフリー計画では、バリアフリーの整備だけでなく、社会全体で関わることのできる環境づくりを推進しています。彼女のウェブサイトでは、障害のある方や高齢者、ベビーカーを使用する方々が安心して利用できる店舗を紹介する「ココロのバリアフリー応援店」として、3000件以上の登録があります。
まとめ
今回の講義は、飲食業界における未来を見すえる重要な機会となりました。学生たちが心に留めた「思いやりの一言」が、未来の飲食店の文化を大きく変える原動力となることでしょう。これマネが志す、心のバリアフリーを実現した飲食店の姿を、多くの人々に感じてもらいたいと願います。