高槻市がヤングケアラー向け支援拠点を開設
高槻市は2023年9月1日、家族の介護や日常生活の世話をしている子どもや若者、通称「ヤングケアラー」に対する支援を強化するため、元ヤングケアラーや精神保健福祉士などの資格を持つ相談員がいる支援拠点を開設しました。この新たな取り組みは「ヤングケアラーピアサポート事業」と名づけられ、居場所の提供や相談、福祉サービスの紹介、同行支援など多岐にわたる支援が行われます。
ヤングケアラーの課題
障がいや病気のある家族の世話や、高齢者や幼い家族に対しての過剰な負担を強いられているヤングケアラーは、心身の発達や人間関係、さらに学業や進路にも影響が及ぶ可能性があります。そのため、ヤングケアラーの実態に合った支援が急務となっています。しかし、実際に自分がヤングケアラーであると認識している子どもは少なく、周囲の理解や支援がなければ適切なサポートを受けることが難しい状況にあります。
これまで高槻市では学校や他の関連機関と連携し、相談やサポートが行われてきましたが、さらなる対応力を求めて元ヤングケアラーや専門の支援者が支える新たな「ピアサポート」事業が始まりました。この事業では、当事者の気持ちを大切にし、ニーズに応じた支援が提供され、家族の介護に関する悩みも気軽に相談できる環境を整えています。
支援拠点の特徴
支援拠点は高槻市中心部に位置し、主に居場所の提供や個別相談を通じて、孤独や孤立を感じる子どもたちをサポートします。支援を担当する一般社団法人「later on」の代表理事である山中葉月さんは、自身の経験を元に、ヤングケアラーに必要な居場所を作ることを目指しています。
「自分の気持ちを誰かに話すだけでも、明日を考えるきっかけになる」と山中さんは言い、対象者には安心して交流できる場所を提供する意義を強調しました。居場所は交流スペースやキッチン、読書スペースなど多様な施設が整っており、子どもたちが自由に過ごせる環境を整えています。
相談サポートの内容
支援センターでは、メールや電話での相談も受け付けており、就職や進路、福祉サービスに関する不安や悩みにも応じています。特に個別面談を通じて、相談者の状況や希望に沿った具体的な支援が行われる予定です。また、家族のケアのためにテーマに基づいたイベントや文化体験も企画し、子どもたちがより豊かな経験を得られるよう配慮されています。
市の担当者は、「居場所やイベントを通じてヤングケアラーの早期発見を目指し、当事者同士の交流を促進することで、孤独感を軽減し、生活環境の改善に繋げていきたい」との意気込みを見せています。
企業情報
- - 施設名: later on
- - 所在地: 高槻市川西町二丁目24番1号
- - 居場所開設日時: 火・木・土曜日
- - 利用料: 無料
- - 電話番号: 090-7249-1826
この新しい支援拠点は、ヤングケアラーが自信を持って自分の状況を話し、サポートを受けられるような場となることが期待されています。心のケアが必要な若者たちにとって、安心できる居場所が提供されることは、今後の彼らの成長にとって非常に重要なことです。