NECがAI活用の駐車施設入庫可否判断実証プロジェクトを開始
NECは2026年1月にAI技術を利用した機械式駐車施設における車両の入庫可否を自動で判断する実証プロジェクトを始める予定です。この企画は、熟練オペレーターの負担を軽減し、サービス業界が抱える深刻な人手不足の問題を解決することを目指しています。
オペレーションの現状と課題
現在、オフィスビルや商業施設に設置される機械式駐車場では、駐車オペレーターが利用者の車を安全に駐車するための支援を行っています。しかし、車両の入庫可否を判断する業務は、オペレーターの知識と経験に強く依存しており、特に次のような2つの大きな課題があります。
1.
判断ミスによるトラブル:オペレーターが誤って入庫を許可すると、車両が損傷する恐れがあり、その結果、オペレーターの心理的負担が増大します。この負担は、離職の一因ともなっています。
2.
教育コストの負担:新人オペレーターを育てるには約半年の期間が必要で、その間ユーザーのニーズに対応できず、事業者にも負担がかかります。
こうした問題を解決するためにNECは、AIを活用して入庫可否の判断を標準化し自動化することに取り組むことにしたのです。
実証プロジェクトの詳細
この実証プロジェクトでは、以下の内容を検証します。
- - 期間:2026年1月から約1か月間(全体の取りまとめを含む)
- - 場所:神奈川県横浜市のオフィスビル併設の機械式駐車施設
- - 検証内容:
- 技術的な観点からAIによる車両の認識精度や必要情報の取得精度を評価。特に車種、年式、車両寸法、さらにはルーフキャリアなどの付属品の認識が求められます。
- 事業的な観点からは、カメラの設置場所や台数、システム導入効果を検証します。
実証の結果を通じてNECは、オペレーター業務の負担を減らし、より効率的で安全な駐車体験を提供するためのソリューションを、2026年度中に市場へ投入する計画です。さらに、将来的には無人化ソリューションとの統合も考えており、駐車場のデジタルトランスフォーメーション(DX)をさらに加速させる方針を明らかにしています。
将来の展望と期待
2025年12月に開催予定の無人化ソリューションのデモでは、このAIシステムを利用した駐車場機能も披露される予定です。国際的な技術革新が進む中、NECは人手不足の課題解決に向けて、AI技術を駆使した革新的な取り組みを進めています。
NECのこの試みが、駐車場運営の未来をどのように変えていくのか、業界からの期待が高まっています。