自律型観測運用の一歩
2026-03-17 11:56:24

超小型衛星「FUSION-1」による自律型観測運用の新たな一歩

超小型衛星「FUSION-1」による自律型観測運用の新たな一歩



福井大学の青柳賢英准教授とセーレン株式会社が共同開発した超小型衛星「FUSION-1」が、最新のエッジコンピューティング技術を駆使して自律的な観測運用を実現しました。この技術の成功は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助事業によるもので、今後の衛星運用に大きな影響を与えることが期待されます。

この技術の革新的な部分は、衛星が電力などの時系列データを基に将来の状態を予測し、自身で観測が可能かどうかを判断するアルゴリズムにあります。具体的には、衛星が軌道上で自身の将来の電力状態を予測し、安全性を確保しながら観測の実施可否を自律的に決定する仕組みを整えました。これにより、地上の管制センター等への依存を減少させ、自立した運用が可能となりました。

さらに、福井大学と福井テレビが共同開発したAIベースの地域抽出ソフトウェアや、アークエッジ・スペース社が開発したIoT低電力通信機を組み合わせることで、地上で得た観測位置の情報を衛星にアップロードする仕組みも構築されました。特に、福井工業大学の3.9mの自動追尾アンテナを利用して観測データの受信を行う方法は、地上での運用負担を軽減し、更なる効率性を提供します。

研究の背景と経緯



近年、超小型衛星は様々な用途で急速に普及しています。具体的には、キューブサットと呼ばれる小型衛星の仕様に基づき、開発期間やコストを抑えつつも、高度な機能を持つ衛星が増加しています。しかし、このような超小型衛星には限られた電力や通信リソースがあるため、いかに効率的に運用するかが大きな課題です。従来の地上からの逐次指示による運用では、迅速な対応が求められる状況には対応しきれないことが多く、特に地球観測の分野においては、新たな技術が必要不可欠です。

これに対して、福井大学の青柳准教授は、エッジコンピューティングを衛星内部に搭載することで、衛星自身が電力などの条件を予測し、観測可否を判断するという新たな運用方式を提案しました。この開発はNEDOの支援を受けて進められ、研究機関と企業の連携の重要性を再認識させる事例となりました。

研究の内容



この研究では、衛星「FUSION-1」に導入されたエッジコンピューティングモジュールが、発生電力やバッテリ電圧といった時系列データを利用し、数時間から数日先の電力状態を予測します。この時、使用されるのはSARIMAという予測モデルで、衛星上での動作の結果に基づいて観測実施の可否を判断します。さらに、観測計画も動的に再構成することで、電力に余裕を持たせることが可能になりました。

このシステムでは、衛星が受信したデータをもとに観測対象を自動的に特定します。この自律観測の成果により、今後はさらなる複雑な運用条件に対応できるシステム構築が期待されています。さらに、空間での実地確認により、技術の実用性が証明されたことで、さまざまな分野への応用が見込まれます。

今後の展開と未来の期待



本研究の成果は、衛星運用の高度な自律化を進展させる重要なステップです。将来的には、多機能衛星による協調観測や災害時の即応体制を整えるための基盤技術としても期待されており、エッジAI技術の導入が加速することが予想されます。福井大学は今後も引き続き、企業や地域機関との連携を強化し、宇宙技術のさらなる発展と利用拡大を目指していきます。今回の成功事例は、大学・企業・地域が協働して宇宙産業を支える未来の姿と言えるでしょう。


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