大阪工業大学、文豪と万年筆をテーマにしたアンソロジー発売
大阪工業大学の知的財産学部に属する水野五郎教授ゼミでは、著作権に関する学びを深めながら、文豪たちの万年筆をテーマにしたアンソロジー『文豪と万年筆』を発行しました。この作品集は、夏目漱石、谷崎潤一郎、北原白秋など著名な作家の万年筆に関する随筆や小説を15篇収録しています。学生たちが中心となり、著作権が消滅した作品を復刊するという意義深いプロジェクトです。
プロジェクトの背景と内容
このプロジェクトは、水野ゼミの学生たちが主体となり行なっています。著作権を学ぶ過程で、彼らは同一性保持権を重視し、復刊作業に取り組みました。例えば、漱石が高級万年筆のインフルエンサーとして認知されていた様子を描いた作品もあり、文房具の進化と文豪の関わりを伺うことができます。今回のアンソロジーでは、各作品の冒頭に肖像画を添え、視覚的にも楽しめる内容となっています。
編集者の思い
このアンソロジーの編集は、文房具に情熱を注いでいる3年生の学生が担当しました。彼は祖父から譲り受けた万年筆を機に、万年筆の魅力に取り憑かれました。手書きが生活の一部であった時代の作家たちが、どのように筆記具に対してこだわりを持っていたのか、彼は調査を重ねました。編集作業は、書き起こし、挿絵、組み版、装丁までを学生自身が行い、同一性保持権を守るために底本との照合作業にも細心の注意を払っています。
アンソロジーの構成
本書は三章に分かれています。第1章では、漱石と万年筆に関する作品が集められています。特に、雑貨店「丸善」に勤めた内田魯庵が漱石に頼んだ英国製の高級万年筆「オノト」についてのエピソードが印象的です。第2章では、万年筆派と毛筆派の主張を対比させる内容となっており、毛筆を愛用する谷崎潤一郎が昭和初期に提唱したアイデアが興味を引きます。第3章では、万年筆が庶民からは遠い存在であった時代の風俗が見事に描かれています。
購入方法
この『文豪と万年筆』は、文房具に興味を持つ方にもぴったりの一冊です。文庫判で168ページのボリューム、価格は700円(税込み)です。購入は、大阪市北区の水野ゼミ運営の書店、またはインターネットのマーケットプレイス「BOOTH」(
こちら)で可能です。週末や祝日には、中での販売も行われています。
この新たな作品を通じて、文豪たちの文学と万年筆の魅力に触れることができる貴重な機会になるでしょう。