調布市の個人経営駐車場が地域を元気にする電柱広告
東京都調布市で「えの木駐車場」を運営する有限会社えの木は、地域の活性化を目指してユニークな電柱広告を展開しています。新型コロナウイルスの影響で街が沈んでいた時期を受け、2022年5月より「調布駅前ににぎわいを。」というコンセプトのもと、特に小学生の通学路などに設置した電柱広告が功を奏し、第14回東京屋外広告コンクールで「公益社団法人東京屋外広告協会 会長賞」を受賞しました。
この電柱広告は、子どもたちが地域の風景を楽しむことができるように交通安全や難読漢字クイズをテーマにしています。調布市内で約80カ所に広告を展開し、特に子どもたちが多く通る場所に集中して設置しているのが特徴です。観察することで、日常生活の中に新しい発見や学びを提供することが狙いです。
電柱広告の背景と展開
えの木駐車場がこのような電柱広告を開始した背景には、代表の井上氏自身が卒業生である調布市立第一小学校があることが関係しています。実際、コロナ禍での休校や新たな環境への不安を感じる子どもたちの姿を受け、自分たちの運営する駐車場の前にある電柱が未使用であることに気づきました。これを何とかしようと電柱広告の構想を練り始めたのです。
広告を通じて、子どもたちが楽しみながら通学できる環境を作るため、井上氏はオリジナルキャラクター「えの木P社長」を考案し、親しみやすいデザインにしています。これにより、広告自体を身近に感じられる要素が増しました。
ユニークなデザインとテーマの多様性
電柱広告の内容は多岐にわたります。例えば、交通安全の啓発を目的とした広告のほか、季節の花や果物の名前を使った難読漢字クイズを展開しています。「鳳梨(パイナップル)」や「百日紅(サルスベリ)」など、普段の生活ではあまり目にしない漢字を紹介し、子どもたちの興味を引きつける工夫がされています。
「胡桃(くるみ)」「桜桃(さくらんぼ)」「桃(もも)」などの果実や樹木の名前を通じて、自然を学びながら毎日の通学路が楽しめるような取り組みです。このようにして地域の子どもたちが、通学の際にさりげなく学びを得ることができる環境を整えています。
電柱広告の効果と今後の展望
受賞については、審査員から「ボリュームたっぷりの電柱広告のエントリーに圧倒された」とのコメントが寄せられ、アイデアの新しさやデザインのバラエティに高い評価がありました。日常的に目にする広告が楽しみや学びとなり、地域の景観を明るくする効果があったとされています。
井上氏は「無機質な電柱に鮮やかな広告が加わることで街の印象が変わる。今後もアイデアを駆使して、電柱広告の可能性を探求し続けたい」と語っています。さまざまなデザインやメッセージで地域の小さな番人となるこの取り組みは、これからも続いていくことでしょう。
まとめ
「えの木駐車場」の電柱広告は、ただの広告に留まらず、地域密着型の取り組みとして子どもたちに学びをもたらすものへと進化しています。今後もそのバリエーションが広がり、多くの人々に愛される存在になることを期待したいです。