MRSA市中感染型の現状
2025-11-11 15:37:26

増加するMRSA市中感染型とその対策について考える

MRSAとその影響



薬剤耐性菌の一つ、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が厚生労働省の発表により、日本国内において市中感染型MRSAの増加が報告されています。MRSAは、本来ならば効果が期待されるペニシリンなどの抗菌薬に対して耐性を持つため、感染症の重症化や治療が難しいという特性があります。日本では1980年代から院内感染として重大な問題とされてきましたが、近年では市中での感染も増加しており、特に健康な人の中でもMRSAに感染するリスクが高まっています。

市中感染型MRSAの現状



東京薬科大学の中南秀将教授によると、最近のMPAデータに基づくと、MRSAの市中感染型(CA-MRSA)の検出率が増加していることが示されています。従来は入院患者や免疫力が低下した患者に多く見られていたMRSAですが、現在では健康な若者や一般市民においても皮膚感染症を引き起こすことが増えています。

MRSAの中でも特にPVL(Panton-Valentine leukocidin)陽性株は、その毒性から深在性の皮膚感染症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。また、日本のCOVID-19の大流行に伴い、様々な健康リスクが顕在化しており、MRSAの市中感染のリスクはこれまで以上に認識されています。

PVL陽性株の危険性



特にPVL陽性MRSAは、白血球を破壊する毒素を産生することから、重篤な皮膚感染症を引き起こす因子としての重要性が増しています。中南教授の研究によると、PVL陽性株によって引き起こされる感染症は、中等症から重症までが多く見られ、重篤な場合、細菌感染が原因で敗血症などを引き起こすこともあるとされています。

さらに、アメリカで発見されたUSA300型MRSAの流行が日本にも波及しており、この型による感染は重症化のリスクが高いことから、さらに警戒が必要です。最近の研究においても、大学の運動部内での集団感染事例が報告されており、感染経路の確認が重要視されています。

効果的な抗菌薬の選択



MRSAの治療には、従来のβ-ラクタム系抗菌薬が効かないため、他の抗菌薬の使用が求められます。中南教授は、PVL陽性MRSAに対してはクリンダマイシンやミノサイクリンが高い感受性を示す可能性があると警告しています。市中感染の場合、まずは内服の抗菌薬を選択することが一般的で、これらの抗菌薬が治療に役立つことが期待されます。

抗菌薬の適正使用が重要



ただし、薬剤耐性菌の拡大を防ぐためには、抗菌薬の適正使用が何よりも重要です。中南教授は、「抗菌薬を不必要に使わないことがAMR対策への第一歩である」と述べています。日本におけるAMR対策として、2023から2027年にかけてのアクションプランが策定されており、MRSAの分離率を20%以下に抑えることを目標としています。これは、院内だけでなく市中での適切な抗菌薬の使用と感染対策が不可欠であることを示しています。

まとめ



MRSAによる健康リスクは、一部の市中感染型の増加によってさらに顕著となっています。そのため、医療従事者だけでなく一般市民も抗菌薬の適正使用に関しての理解を深め、教育活動を通じて健康な社会の実現に貢献していく必要があります。今後のMRSA関連の動向に注目が集まります。特に若年層における感染症が重症化する事例が増えていることから、警戒が求められます。


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国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター AMR臨床リファレンスセンター
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