使用済み割り箸を再生したプロジェクトが万博に登場
2025年の大阪・関西万博でカナダパビリオンが展開する特別なプロジェクト、193万本の使用済み割り箸が新たな形を持って来場者を迎えます。カナダのサステナブルな製造会社、
ChopValue Manufacturing Japanが中心となり、アップサイクルの手法を取り入れた製品が展示されるのです。特に注目されるのは、全長7メートルで22名が着席できる特大サイズの会議テーブルです。このテーブルは「コラボレーションスペース」に設置され、商談やパーティーなど多用途に活用される予定です。
使用済み割り箸の新たな価値
ChopValue Japanは、606,597本の使用済み割り箸をアップサイクルし、この特大会議テーブルを製作しました。このプロジェクトでは、単にリサイクルするのではなく、割り箸を新たな価値ある資源へと変換することを目指しています。ChopValue Japanは、日本の循環型製造の実践を代表する企業であり、その取り組みはDI(デザイン・イノベーション)の先駆けとして国内外から注目を集めています。
さらに、万博内の飲食エリア「デスティネーション・プーティン・バイ・エア・カナダ」でも、ChopValue Japanが設計から製作までを一貫して手掛けています。このエリアでは、注文カウンターや調理スペースに使用された素材も、全て使用済み割り箸からアップサイクルされたものです。このエリアは2025年10月13日までの期間、多くの来場者にカナダの文化やスピリットを体験してもらうための場となるでしょう。
カナダパビリオンの美しさ
カナダパビリオンのコンセプトは「再生(Regeneration)」です。春の訪れとともに川が溶けて流れ出す自然の循環をテーマにしており、外観にはカナダの冬の凍った川を模したデザインが施されています。氷に覆われた外観とは対照的に、パビリオン内ではカナダの開放性と革新性が感じられ、訪れる人々に自然との調和や持続可能な社会に関する重要なメッセージを伝えます。このパビリオンを訪れることで、来場者はChopValueの持つ循環型のコンセプトがどのように商品として具体化されているのかを体感することができるでしょう。
インパクトのある取り組み
ChopValueの代表取締役、
ジェームス・ソバック氏は、「この万博を通じて、サステイナブルなイノベーションの実践例を示すことは非常に重要です。606,597本の使用済み割り箸を再利用することで、29,864キロの二酸化炭素の排出を削減しました。この取り組みは、私たちがどのようにして資源を価値あるものに変えていけるのかを示す貴重な事例です。」とコメントしています。
ChopValueの背景
ChopValueは、2016年に設立された循環型製造企業であり、使用済み割り箸を集めて再生素材に加工する「マイクロファクトリー」を展開しています。これまでに、80以上のマイクロファクトリーが開発され、2億本以上の割り箸が埋め立て地から救出されています。地域に根ざした事業運営を通じて、環境への影響を最小限に抑えつつ、高品質でデザイン性のある製品を提供しています。
こうした取り組みは、サステイナブルな社会の実現に向けた重要なステップであり、ChopValueの活動は他の企業や団体へのインスピレーションとなることでしょう。
おわりに
万博でのChopValueのプロジェクトは、未来へ向けた環境への配慮やサステイナブルな製造の可能性を示す素晴らしい例です。訪れるすべての人々が、使用済み割り箸の新たな価値を知り、それを体験することで、持続可能性について考えるきっかけになることを期待しています。