旅人たちと巡る、世界の“認知症” 第3弾【アジア編】
2025年7月1日火曜日、注目を集めたオンラインイベント「旅人たちと巡る、世界の“認知症”」の第3回が開催されました。今回はアジア地域を焦点に、台湾とシンガポールから招いたゲストが、各国の認知症支援に関するユニークな取り組みについて語り、参加者とともに理解を深める場となりました。
イベントの背景
このイベントは、世界8カ国でのクラウドファンディング開始に合わせて行われ、認知症をテーマとした実写映画『認知症世界の歩き方』の制作支援を目的としています。特に、参加者が異なる文化とアプローチを通じて認知症に対する理解を深めることが重要視されています。
ゲストスピーカーの紹介
李若綺(リー・ローチー)さん(台湾)
李さんは台湾の「弘道老人福利基金会」の執行長として、超高齢社会における高齢者福祉の実践に取り組まれています。彼女の組織は、30年以上にわたって多様な高齢者支援を展開しており、「全ての高齢者が自主性を持ち、安心して生き生きとした生活を過ごせる社会」を目指しています。李さんは、最近のデータに基づく高齢者福祉の必要性を強調し、質の高いサービス提供を求める声が高まっていると述べました。
吉国泰代さん(シンガポール)
シンガポール在住の吉国さんは医師であり、公認心理師として活動しています。彼女自身の家族が認知症を抱えている経験から、介護に対する新たな視点を得ており、認知症支援に関する様々なプロジェクトを企画・実施しています。吉国さんは、シンガポールにおける「Age Well SG」プログラムなど、国全体を挙げた高齢者支援の取り組みを紹介しました。
ゲストからの発表
台湾の状況
李さんは、台湾が短期間で超高齢社会に移行したことを危惧しながらも、全国的に急増するデイケアセンターなどの取り組みについて語りました。また、社交イベントや高齢者体験プログラムの実施により、高齢者が自主的に活動できる機会を設ける重要性を強調しました。これにより、高齢者だけでなく地域全体がサポート体制に貢献する必要があると述べています。
シンガポールの先進的取組
吉国さんは、シンガポールの高齢者支援プログラム「IMPRESS-MIND2S」を紹介しました。これは、フィンランドの研究結果を基にしたもので、生活習慣や社会参加が認知症予防に大きな影響を与えることが判明しています。また、健康管理や食事記録を行い、運動促進にポイント制度を導入するなど、効果的なアプローチが整えられています。特に、認知症当事者やその家族へのサポートを行うアプリ「CARA」の存在も重要です。
クロストークセッション
イベントの後半では、台湾とシンガポールの認知症支援の現状を交え、日本との共通点や課題についての討論が展開されました。吉国さんは、認知症に対する早期発見の観点から、日本の充実した支援体制は他国にとって参考になるとコメントしました。一方、李さんは「質を重視する段階に入っている」とし、フィードバックを通じた支援の向上が大切であると述べました。
クラウドファンディングと今後の取り組み
イベントを通じて、参加者はこの活動の重要性を強く感じました。現在、世界8カ国で行われているクラウドファンディングにもご支援をいただくことが求められています。支援は、映画『認知症世界の歩き方』の特設ウェブサイトやREADY FORから行えます。興味のある方はぜひご覧ください。
終わりに
このイベントは、アジア地域における認知症支援の進展を知る良い機会となりました。台湾やシンガポールの取り組みから学ぶことは、認知症支援のあり方を再考するきっかけとなり、今後の活動に向けた重要な一歩を形成することでしょう。