北加賀屋発!音楽家・日野浩志郎が挑む新プロジェクト「歌と逆に。歌に。」
大阪の北加賀屋を拠点とするアーティスト・クリエイターを支援する「KCVセレクション」が、2024年8月に本格始動する。同事業は、一般財団法人おおさか創造千島財団が北加賀屋の創造拠点を活用したオリジナル企画を支援するもので、初回となる今年度は、音楽家・日野浩志郎が選出された。
日野は、2018年から北加賀屋の「音ビル」にサウンドスタジオを構え、活動を続けている。KCVセレクションとして、日野と詩人・池田昇太郎が音と声の表現を探る3カ年プロジェクト「歌と逆に。歌に。」をスタート。初年度は、クリエイティブセンター大阪にて新作音楽公演を開催する。
詩人・小野十三郎の作品から生まれた音楽公演
本プロジェクトは、戦前から戦後にかけて大阪の風景や土地の人々を詩で表現した詩人・小野十三郎の作品に着想を得ている。1936年から52年にかけて小野が大阪の重工業地帯を取材し、1953年に刊行された詩集『大阪』と、彼の詩論の柱である「歌と逆に。歌に。」が、本公演の重要なテーマとなる。
日野と池田は、小野の詩集『大阪』で描かれた地域や地名をフィールドワークとして実際に訪れ、小野の生きた時代や社会、彼の生まれた街、育った街、住んだ街、そして通った道など、様々な側面を探求していく。
詩集『大阪』から生まれた「新たな抒情」を音楽で表現
小野十三郎の詩作品に向き合うことは、彼の生きた時代とその社会、彼の生まれた街、育った街、住んだ街、通った道、生活、彼の思想、友人や影響を受けた詩人を訪れることでもある。
本公演では、小野十三郎という詩人の作品に向き合うことで、彼の生きた時代とその社会、彼の生まれた街、育った街、住んだ街、通った道、生活、彼の思想、友人や影響を受けた詩人を訪れるような体験を観客に提供する。詩集『大阪』で描かれる北加賀屋を舞台に、小野が試み、希求した「新たな抒情」を感受し、独自に解釈し、編み直し、それを音楽公演という時間と空間の中に表現する。
公演情報
新作音楽公演|「歌と逆に。歌に。」
日程:2024年8月16日(金)〜18日(日)
公演日時:
①8月16日(金)19:30-
②8月17日(土)14:30-
③8月17日(土)19:30-
④8月18日(日)14:30- ※開場は各開演の30分前を予定
会場:クリエイティブセンター大阪内 Black Chamber(大阪府大阪市住之江区北加賀屋4-1-55)
料金:一般=4,000円、U25=3,000円、当日=5,000円
チケット取扱い:ZAIKOイベントページにて
関連イベント
オープンスタジオ
日時:2024年7月7日(日)14:00-17:00
会場:音ビル (大阪府大阪市住之江区北加賀屋5-5-1)
料金:500円(要申込・途中入退場自由)
* 申込:Googleフォームにて
日野浩志郎のコメント
「発端は、大阪北加賀屋を拠点とする『おおさか創造千島財団』から2年連続のシリーズ公演を提案されたことでした。声をテーマにした音楽公演を以前から模索していたのもあり、大阪で山本製菓というギャラリーを運営していた詩人の池田昇太郎くんに声をかけたところ、大阪の詩人である小野十三郎に焦点を当てた公演を行うのはどうかと提案してくれました。
小野十三郎は戦前から活動を行ってきた詩人であり、『短歌的抒情の否定』、つまり短歌(57577)の形式や感情的な表現を否定するという主張を行った詩人です。
今回の公演では、小野の代表的詩集『大阪』(1939)を中心に置き、小野の詩を読み取りながら音楽と昇太郎くんのテキストを制作していきます。一般化された短歌のような形式の否定というのは詩だけに留まらず、音楽に対しても同様に言及されているところがあり、音楽的常識に則ったものや直接感情的に訴えるような音楽は制作しない予定です。
このプロジェクトは一旦3年を計画しています。最初の2年は大阪で公演を行った後、公演に関する音源作品と出版物をEU拠点の音楽レーベルから発売、そして3年目には海外公演を行うという目標で進めています。」
池田昇太郎のコメント
「小野十三郎という詩人の詩と詩論に向き合うことは彼の生きた時代とその社会、彼の生まれた街、育った街、住んだ街、通った道、生活、彼の思想、友人や影響を受けた詩人を訪れることでもある。
翻って、それは私たちの生きる時代とその社会、私たちの生まれた街、育った街、住む街、通る道、生活、私たちの思想、つまり私たち自身を訪れることでもある。
本作のタイトル『歌と逆に。歌に。』は小野十三郎の詩論の一節に基づくものだが、公演に用いたテキストでは、小野の詩や詩論を引用することを最低限にし、書き下ろしとすることにした。そのようにするしかなかった諸般の事情もあったが、詩人の遺した言葉から感銘を受けるに留まるのではなく、新たに言葉を紡ごうとする意義を問い直す必要があった。」
日野浩志郎と池田昇太郎、そして北加賀屋が織りなす「歌と逆に。歌に。」は、詩と音楽、そして場所の記憶を融合させた実験的な舞台となる。ぜひ足を運んで、彼らの挑戦を体感してほしい。