EdgeCortixが切り開く新たなAI技術の未来
エッジAI技術の先駆者、EdgeCortix株式会社(本社:東京中央区)は、最近、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によって、30億円規模の新たなプロジェクトに選ばれたことを発表しました。このプロジェクトは、同社が開発中の次世代省エネルギー型AIチップレット『NovaEdge』の実現に向けた重要な一歩として位置付けられています。
NovaEdgeとは?
『NovaEdge』は、エッジコンピューティング環境での計算効率及び電力効率を飛躍的に向上させることを目的としたAIチップレットです。このチップレットの実装によって、高性能な生成AIの推論やオンデバイス学習が可能になり、柔軟なAIモデルの適応が期待されています。
この新しいプラットフォームは、EdgeCortix独自の「Dynamic Neural Accelerator(DNA)」アーキテクチャに基づき構築されています。プログラマブルなAIプロセッサとRISC-Vベースの汎用プロセッサが高度に統合されており、エネルギー効率とスケーラビリティを兼ね備えています。さらに、同社が開発したMERAコンパイラとソフトウェアフレームワークを融合することで、AIモデルの最適化や迅速な展開、リアルタイムの学習を実現しています。
プロジェクトの意義
さて、今回のNEDOによる採択は、実に6ヶ月での二度目の大型プロジェクトとなるため、EdgeCortixにとっては欠かせない成功を意味します。これにより同社は日本政府からの研究開発資金を総額70億円(約4,900万米ドル)を確保することになりました。これは、2024年11月に採択されたポスト5G通信システム向けの省エネAIチプレット開発のための40億円と合わせたものです。
EdgeCortixのCEO、サキャシンガ・ダスグプタは「この名誉あるプロジェクトに採択されたことを心から光栄に思います。『NovaEdge』は、高効率のエッジAI技術のパイオニアとしての当社の評価を反映しています」とコメントしています。彼はまた、今回の研究が様々な分野において実世界に対するインパクトを与える重要性を強調しました。
5倍の電力効率と広がる可能性
『NovaEdge』は、既存のGPUベースのエッジAIソリューションと比較して、実に5倍以上の電力効率を実現することを目指しています。これは、リアルタイム生成AIや継続的なオンデバイス学習が求められる活用法を広げる可能性を秘めています。AIと伝統的なコンピューティングの両方を扱うプログラマブルアーキテクチャを持つことにより、EdgeCortixは日本におけるAI技術のリーダーシップを一段と強化することが期待されています。
NovaEdgeは、2027年初頭の市場投入を見込んでいます。この時期にエッジ環境での高性能化に対応できる製品が登場することで、低遅延かつ省エネルギーなAI体験がユーザーにもたらされるでしょう。特にロボティクスや産業分野への商用展開が計画されており、さらには航空宇宙業界にも大きな影響を及ぼすことが予想されています。
EdgeCortixの背景と展望
EdgeCortixは、エッジでの生成AIワークロードのエネルギー効率に特化したファブレス半導体企業です。2019年に設立されたこの会社は、日本国内で独自のランタイムとハードウェア設計に基づく特許技術を開発しており、スマートシティ、航空宇宙、防衛などの分野での活用が期待されています。
https://www.edgecortix.com/ja/ にも詳細情報が掲載されています。イノベーションを起こすEdgeCortixの未来に、今後も注目です。