オンラインリワークプログラムの概要
株式会社ジャパンEAPシステムズ(JES)は2020年から新たにオンラインによるリワークプログラムを展開しています。このプログラムは、うつ病などのメンタルヘルスに問題を抱えた従業員が、より安全に職場復帰を目指すための支援を行うことを目的としています。
リワークという言葉は、主に休職者が再び仕事に復帰するための支援プログラムを指しますが、従来は医療機関や企業内での対面式の提供が一般的でした。しかし、地域によってはリワークの施設が存在しないことから、参加のハードルが高いのが現状です。そこでJESは、リモート環境でも参加できるプログラムを開発し、利用者に効果的な支援を提供する取り組みを行ってきました。
プログラムの内容
オンラインリワークプログラムは次のようで構成されています:
- - ストレスマネジメント(全4回): ストレスの全体像を理解し、自身の考え方や気分の傾向を知り、ストレスに対処するためのレパートリーを増やします。
- - コミュニケーションスキル(全4回): 自身の対人関係を見つめ直し、適切なコミュニケーション手法を学ぶことで、人間関係の構築と維持に役立てます。
- - 一週間の振り返り(全4回): 復帰を目指す仲間との情報交換を通じて、振り返りの習慣と良好な休養方法を身に付けます。
このプログラムには、メンタルヘルスの不調で休職中の従業員が対象となり、条件を満たした上で参加が可能です。全12回のプログラムを受けるには、心身の状態が安定していることが必要です。
効果の検証
JESは、オンラインで実施したリワークプログラムの効果を調査した結果、復帰後12カ月時点での就業継続率が86.8%に達することがわかりました。この数値は対面型リワーク(89.3%)に匹敵することから、オンラインでも十分な支援が行えることが証明されました。しかし、体力や意欲の回復においては依然として対面型に頼る部分が残っているため、今後の課題とされています。
調査概要と成果
この調査は、2020年1月から2021年4月までの間にオンラインリワークを修了した69名を対象に行われました。年齢層は20代前半から50代後半に及び、41社の契約企業の従業員が参加しました。調査結果は、日本産業精神保健学会で発表され、注目を集めています。
今後JESでは、オンラインと対面型のリワークプログラムにおける効果の違いや必要なファシリテータの技能について、さらなる研究を進める予定です。これにより地域に依存せずに質の高い復職支援を提供することを目指しています。
会社概要
株式会社ジャパンEAPシステムズは、1993年に設立され、メンタルヘルスやキャリア問題に関する相談を行っています。医師や臨床心理士などの専門家がチームを組み、様々な研修プログラムや職場復帰支援を提供しています。