言葉の不思議を解き明かす「音象徴」
2024年10月12日、新たに発売される書籍『「あ」は「い」より大きい!? 音象徴から学ぶ音声学』は、人気言語学者・川原繁人氏が、音声学の魅力をあふれるユーモアで解説した一冊です。この本では、私たちの周りに存在する言葉の不思議を、科学的な視点から丁寧に掘り下げています。
音声学の基礎を楽しみながら学ぶ
川原氏は、言語学や音声学についての知識がなくても楽しめるよう、本書を構成しました。音声学の基本から始まり、言葉にはどのような音の影響があるのか、音が持つ象徴的な意味について考察しています。たとえば、「カンタム」は本当に強いのか?「ママ」は「パパ」よりも柔らかい音を持つのか?こうした問いを通じて、音の襲撃や言葉の持つ印象を考察するのです。
音の種類とイメージの関係
本書では、音にはそれぞれ特有の感情や印象が結びついていることを解説しています。例えば、『/maluma/』と『/takete/』という音のペアを通じて、音の持つ二面性や心理的な影響力について触れています。また、秋葉原のメイドさんの名前分析や、男性・女性の声の違いについても詳しく解析されており、読者は音声学の深さに気づくことでしょう。
言語と音の驚くべき相互作用
特に著者が注目しているのは、言葉と音との相互作用です。たとえば、なぜ「おしゃかなしゃん」と表現するのか、その音韻の持つ心理的な側面についても深く考察されています。これによって、読者は普段何気なく使っている言葉にも新たな視点を持つことができるでしょう。
まとめと音声学の広がり
さらに、音声学が他の分野にも及ぶ影響について言及しているのも本書の魅力の一つです。音声学が外国語学習や感情表現においてどのように活用されているか、そして音声学と科学技術の関連についても触れています。
川原繁人氏は、音声学の専門知識をもとに幅広い視点から本書を構築しました。288ページの文庫判で、定価は1,100円(税込)です。この本を手に取ることで、言語の世界がより一層面白く、身近に感じられることでしょう。
著者プロフィール
川原繁人氏は、東京出身の言語学者であり、音声学を専門としています。国際基督教大学やマサチューセッツ大学で学び、慶應義塾大学では教授として教鞭を揮っています。著作も多く、音声学の普及に努めている著名な研究者です。彼の洞察を通じて、読者は音の魅力により触れることができるでしょう。