新機能を搭載した咀嚼シミュレーターの紹介
株式会社J-オイルミルズが開発した咀嚼シミュレーターに新たな機能が加わりました。この装置は、大阪大学大学院工学研究科の東森充教授との共同研究により、新たに液体の添加機能を搭載し、ヒトの咀嚼過程をより正確に再現できるようになりました。これにより、食品の「口どけ感」が見える化されることで、食品開発の質が向上します。
咀嚼シミュレーターの背景
このプロジェクトは、食品のテクスチャーや味わいを科学的に理解し、改善することを目指しています。咀嚼の最中の食感は、ただ味や香りだけでなく、厚さや弾力の感覚にも影響を与え、消費者の満足度を大いに左右します。このため、食感を定量的に評価することが食品開発において非常に重要です。
これまでの研究では、咀嚼の初期段階における食材の物性しか計測できず、食感の変化を測ることが難しいという課題がありました。しかし、新たに搭載された機能により、後期の過程まで可視化が可能となり、より高精度な食感評価が実現しました。
新機能による評価の可能性
新しい液体添加機能は、咀嚼の過程を全体的に考慮することで、食品の評価をより効果的に行うことを可能にします。具体的には、食べ物を噛み、すりつぶし、唾液と混ぜ合わせ、最終的にまとめるという一連の流れをシミュレーションすることで、クッキーのような低水分食品が口の中でどのように変化するかを再現します。これにより、食材の「口どけ感」を科学的に評価することができるのです。
食品開発との連携
この技術は今後、J-オイルミルズの製品開発や販売の拡大に寄与すると期待されています。新機能の確立により、業界全体に対して食品評価の質を向上させることが可能となります。さまざまな業界との協力も視野に入れ、より良い食品を提供することを目指しています。
大学との共同研究の意義
大阪大学大学院工学研究科の東森教授は、「私たちの研究は食品工学と機械工学の交差点に位置し、この咀嚼シミュレーターの開発を通じて、よりおいしく安全な食品の開発に貢献したい」と述べています。このような機関との連携が、食品評価の未来を切り拓く鍵となるでしょう。
今後の発表と分野の発展
2025年には、FOOMA JAPANや日本食品工学会のフォーラムでこの新技術の発表が予定されています。これを機に、さらなる研究と開発が促進され、食品業界全体における品質の向上が期待されます。
まとめ
株式会社J-オイルミルズによる咀嚼シミュレーターの進化は、食品の質を向上させるだけでなく、消費者にとっても魅力的な製品開発に貢献するでしょう。これからの食品評価がどう変わるのか、ますます注目される技術です。