次世代蓄電池「HOBEFLOW-200」の登場
2023年10月、HOBE ENERGY株式会社が次世代バナジウムレドックスフロー電池「HOBEFLOW-200」を2025年10月22日に発売することを発表しました。この新しい蓄電池は、不燃性の水系電解液を用いて本質的な安全性を確保した上で、設計寿命は20年以上。これにより、特に6時間を超える長時間放電が求められるシナリオにおいて、ライフサイクルコストが優れた経済性を実現しています。再生可能エネルギーの安定供給に寄与することが期待されています。
開発背景
現在、再生可能エネルギーの普及が進む中、発電の変動に対して数時間から十数時間にわたる時間シフト需要が高まっています。これまで短時間のエネルギー供給はリチウムイオン電池などによって担われて来ましたが、6時間以上の発電には寿命や交換コスト、安全対策などの様々な課題が存在します。HOBE ENERGYでは、これらの問題を解決する“インフラ電池”として、長寿命・高頻度運用を実現したバナジウムレドックスフロー電池を再設計しました。
HOBEFLOW-200の概要
1. 製品詳細
- - 技術: バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)
- - 定格出力: 200 kW(モジュール連携が可能)
- - 蓄電容量: 400–1,600 kWh(設計はタンク拡張によって柔軟に対応)
- - 設計寿命: 20年以上(サイクル寿命は25,000回以上を目安)
- - 想定用途: 再生可能エネルギーに併設した時間移送(6–12時間)や、系統安定化、ピークシフト/ピークカットなど。
- - 発売予定日: 2025年10月22日
- - 価格: 個別見積もりです。
2. 特徴
- - 本質安全性: 燃えない水系電解液を使用しているため、熱暴走による火災のリスクを原理的に避けることができます。このため、都市部や重要施設での導入においても高い安心感があります。
- - 長寿命・高耐久性: 電解液の劣化は軽微で、高頻度なサイクル運用でも容量の維持が可能です。このため、一般的な中途交換の計画を最小限に抑え、長期的なTCOの低減にも寄与します。
- - 6時間以上での経済性: 出力と容量を独立に最適化できるため、放電時間が長くなるほどLCOSでの優位性を発揮します。再エネの夜間移送や継続的なピーク負荷にも対応できます。
導入シナリオ
HOBEFLOW-200は、次のような場面での導入が期待されています。
- - 系統用蓄電所: 6–12時間の時間移送や周波数調整の基盤としての蓄電。
- - 大規模な再生可能エネルギーの併設: 日中の発電を夜間に売電する最適化や出力の平準化を行います。
- - 大規模産業施設: 連続的なピーク負荷の平準化やBCP用途の長時間バックアップ。
代表取締役社長のコメント
HOBE ENERGYの沖野強一社長は、「HOBEFLOW-200は、短期的なコストよりも、20年後の確実性を求める顧客のために設計された長寿命のインフラ電池です。安全性、耐久性、そして長時間の経済性を基盤に、再生可能エネルギーの安定供給という次の段階の課題を乗り越えていきます」と述べています。
会社概要
- - 会社名: HOBE ENERGY株式会社
- - 所在地: 東京都文京区本郷3-37-15 プロムナード深瀬2F
- - 設立: 2023年12月
- - 資本金: 351百万円(2025年8月末時点)
- - 事業内容: 蓄電池および制御システムの開発・製造・販売、設置・保守・メンテナンス。
- - 公式ウェブサイト: HOBE ENERGY